伊東の山といえば、よく知られているのは天城山である。厳密には市域内とはいえないが、登山口へのバスは駅から出る。終点の天城高原ゴルフ場へは約1時間、標高はすでに1050メートルを越えている。天城山の最高峰で標高1406メートルの万三郎(ばんざぶろう)岳へは400メートルの標高差もない。じつに山本来の高さの三分の二以上を他力で登ってしまう。このバスは、高原別荘地への交通システムとしてディベロッパーが運営しているシャトルバスで、終点まで乗っても500円という低料金だから便乗する登山者も多いし、私もそのひとりである。
しかし、他方、自分の足で歩いて登りたい(山登りだから当たり前か)人間にしてみれば、これは大きなお世話というもので、お金を払ってまでして山登りのスケールを小さくしたいとは思わない。大人気ないと笑われそうだが、加齢による体力低下と反比例するように、フェアプレー精神というよりもむしろ意識下のアニミズム的な何かがふつふつと沸き出でて、その山のもつ本来のスケールにふさわしい登り方をしたいという思いに駆られるようになった。
その1 伊豆大川から天城山
その2 地蔵尾根から仙丈ヶ岳
その3 七里岩台地から甲斐駒ヶ岳
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