守屋山(辰野

杖突峠近くの登山口から登るばかりだった守屋山を、かつての本道であったろう守屋神社からの径で初めて登ってみたのはちょうど5年前の木曜山行http://yamatabi.info/2011a.html#2011a3でのことで、すっかり気に入ってしまった。何しろ杖突峠登山口には観光開発による得体の知れない建造物があって興ざめだったから(それらのあった跡地は今ではソーラー発電所になっていて、これも興ざめ)、それを見ないで済むだけでも価値があった。

木曜山行ではそれ以来だが、他の登山口に比べ、いまだにどういうわけか標識が整備されていないのは、ここからはあまり入山してほしくないのかもしれない。あたりに車を停める場所がほとんどないから、あまり来てもらっても地元としても困るのだろう。

南向きの登山道は、背後の山に日がさえぎられる部分には固くしまった雪が残っていたが、標高が上がるにつれ、むしろ雪は減り、土の出たところが多くなった。順調に登って、11時には東峰に着いてしまった。西峰が主峰ではあるが、三角点があるだけだし、眺めもこちらのほうがいいので、もう行かなくていいでしょうと、ここで落ち着くことにした。

それにしても今年に入ってから木曜山行は5回連続の快晴だったのはおそろしく運がいい。北や中央アルプスこそ雪雲に隠れ気味だが、八ヶ岳と南アルプスはすっかり青空の下である。さすがにこの好天に、杖突峠側からは続々と登山者がやってきた。長靴の人も多いのは地元の人だからだろう。あまりに天気がいいので登りに来たとみえる。

展望を堪能したのちは杖突峠へと下ったが、北向きの登山道の適度に踏まれて固くなった雪があって、終始、土を見ることはほとんどなかった。アイゼンが快適に効いて、林道終点までの標高差300mを下るのに20分しかかからなかったのは積雪期ならではだろう。無雪期ならこうはいかない。

北側の斜面には期待していた霧氷も残っていて、まず申し分のない守屋山だった。

八幡山(塩山)

日帰りで行けるようなめぼしい山は10年以上も毎週出かけていれば枯渇する。そこで以前に計画した山に再び三たび出かけることになるわけだが、しかし例えば1000m以下の山に真夏に登るわけにはいかないと、山にはそれぞれ適期というものがあるから、その意味でも選択肢はせばまるのである。

八幡山に初めて登ったのは20年前のことで、脚気石神社から帯那山に登り、八幡山を越えて天狗山まで歩き、野背坂を下って車道を山梨市駅まで歩いた。10時間かかるという、今では到底考えられないような行程だが、若かったということだろう。帯那山からは踏跡薄く、地形図をしばしば確認しながら歩く稜線だった。

その行程を半分にして木曜山行で計画したのは9年前で、写真を見ると10人以上の大所帯だったのには驚かされる。最近では滅多にないことだが、かつては木曜山行も盛況だったなあと感慨深い。帯那山から天狗山までの計画だったが、桜峠で時間切れとなり、天狗山は後に出かけることになった。
http://yamatabi.info/tawara-20070111
http://yamatabi.info/tawara-20100326

先月、恩若峯に登ったときだったか、誰かにあの山の名前はと問われたのが八幡山で、そう問われたのも、なかなか特徴のある山容だからである。それで久しぶりに登ってみようかと2月の計画に入れることにした。今回は八幡山だけに登ろうというのだから、以前からすると、計画もえらく縮小したものだなあと思う。

要するに最近はのんびりした山歩きである。昨日はそののんびりが災いして、桜峠への入口を見逃してしまったり、八幡山からは防火線に惑わされて主稜線をはずし、切差へ下るつもりが、山口に下ってしまったりで、ちょっとのんびりし過ぎたらしい。

予定通りなら絶対に行くことがなかった場所に足跡を残したといえば負け惜しみだが、山歩きの本質は自由なのだから、臨機応変で楽しめばいいのだとも思う。私としては径のある山ではなかなか発揮できない山勘を発揮でき、なかなか楽しい山歩きだった。


信玄望テラス(甲府北部)

2月の寒い時季にきつい山はどうも、といったこともあるだろうかと計画したのが、甲府の里山、すなわち湯村山から片山への山歩きだった。これなら寒くないしきつくない。

しかし、行こうという人はおとみ山だけだったので、なにも元気なおとみ山とこんな山に行くことはないと計画を変えることにした。楽な山は他日にとっておこうというわけである。

ふたりだけでは寂しいから、枯れ木も山の賑わいと犬のココも連れて行くことにしたので、ならばなおさら元々の計画で歩くつもりの公園内の歩道では犬を放すわけにはいかない。

どこに行こうかなあと考えて、一昨年の暮、羅漢寺山塊の信玄棒に行こうとしてたまたま見つけたテラスに行ってみることにした。ここなら最初の計画よりむしろ肉体的には楽なくらいだが、しかし道はないので、散歩というわけにはいかないのがいいところ。

木曜山行は、てっぺんで昼飯を食う、というのがテーマのひとつだが、それには最適な場所である。誰にでも推奨できるところでもないが、おとみ山の好みには合っていたことだろうと思う。

信玄棒を見下ろす岩のテラスを、洒落で、信玄「望」テラスと名付けることにした。羅漢寺山塊には、こういったほとんど人の訪れることのない岩のテラスが多いから面白い。今日も、信玄望テラスから見渡して、あそこは良さそうだね、という場所が二ヶ所あった。いずれ訪れてみたい。


虫倉山(霧ヶ峰

一昨年、山梨県は未曾有の大雪で、大変な目にあった。昨年はこのあたりこそ降らなかったが、霧ヶ峰近辺ではめったにない大雪で、ビーナスラインが雪崩で通行止めになるほどだった。そんなわけでスノーシューの出番がかなりあったのだったが、この冬は一度降った雪はかなりのものだったものの、その後が続かず、それでも一度だけはと計画していた虫倉山スノーシューも、車山あたりの地肌が出ているのを中央道から見る限り、どうやらスノーシューは不要だと思われた。

雪はなくとも、木曜山行では登ったことのない山だから計画は変えずに登りに行くことにした。しかし、スノーシューでないならなにも星糞峠からの往復にすることはないと、かねて目をつけていた南東尾根から登って星糞峠に下ってみることにした。

山は行ってみないことにはわからない。この南東尾根が出色だった。落葉松の植林地を抜けてからの広葉樹の林、カヤトの原、笹原、そして安山岩の岩尾根、ところどころから開ける展望は蓼科山はもちろん、八ヶ岳から南アルプス、乗鞍、北アルプス、そして浅間連山と実に広い。とにかく変化に富んで飽きさせることがない。さかんに色々な山に出かけて不感症になっている我々をも唸らせるすばらしさだった。

早く登るのはもったいないとゆっくり登って頂上まで2時間だった。頂上西の広いカヤトの原で昼食としたのち星糞峠へ下ったが、これはあっという間に見慣れたあずま屋に到着した。帰ってから前年との違いを写真を見て較べたが、あまりの違いに驚かされた。気候の変化が極端になっているということだろうか。

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