鶴ヶ峰(宮木・北小野

今年の冬に鶴ヶ峰を目指したが、日本のゼロポイントへという新しい道標にすっかり惑わされたうえに積雪に阻まれ、途中で撤退した。http://yamatabi.info/2015b.html#2015b4そこで雪の降らないうちに再度挑戦しようと12月の計画に入れた。

それにしても、大城山からの往復ではあまりにも芸がない。雪が降る前なら車で行ける山なのだから、歩く価値のあるコースでなければ意味がないのである。そこで、この山中にある真言宗の古刹七蔵寺を巡る周回コースを設定することにした。今の電子図からは消えているが、少し前の地形図にはある、鶴ヶ峰直下に通じている破線路を見つければよい。

師走ともなれば皆さんお忙しいようで、山歩大介さんとのふたり旅となった。滅多にない晴天がほとんど5日間ぐらいは続いたので、そろそろ雨になるかもしれないと心配したが、なんとか降らないで済んだ。

展望台までしつらえてある鶴ヶ峰だから1日ずれていれば最高の展望が得られたことだろう。それでも八ヶ岳や南アルプスはまずまず眺められたし、2週間前に登ったばかりの穴倉山が見られたし、今までしっかりと山そのものの姿がとらえられなかった霧訪山がなかなか立派な姿で見られたのは収穫だった。

その展望台があるところが鶴ヶ峰山頂とされているようだが、南北三峰からなる、その北峰が最高点である。昨日はそこまでは行かなかったが、手前の稜線上にある三角点(点名陣馬ヶ原)は掘り出してきた。

大城山へは西側の沢を詰めて登り、鶴ヶ峰からは前述の破線を探して歩いたたわけだが、探すほどのこともない、かつては車が通ったのであろう立派な道で、七蔵寺までまったく問題なく歩くことができた。

目的のひとつだった七蔵寺は、廃れた感じがすばらしいと言うと失礼かもしれないが、むろん褒め言葉である。
宮宕山(石和・塩山・大菩薩峠・笹子)

宮宕山にはこの山が甲州高尾山と地形図にあったころから何度も登ったが(山名の変遷については2011年に登ったときに少し書いた。http://yamatabi.info/2011l.html#2011l1、麓の大善寺からきちんと登ったのは一番最初だけで、そのときには径を探して大善寺の裏手をウロウロしたのを覚えている。もう四半世紀も前のことである。

この山域の一角に棚横手山という山梨百名山が誕生してからは入山者が増え、道標も整備された。しかし、大展望が楽しめる山だという評判でも入山者が多いのは、度重なった山火事がその理由なのだから、地元民にとってははなはだ皮肉なことであろう。

この山にきちんと麓の大善寺から登ってみようというのが昨日の計画で、登りはそれでいいとしても、同じ径を下るのも芸がない。そこで今の地形図にも破線が入っている、南側の深沢へ下ってみることにした。この破線の途中にある神社は中央道を東へ進むとき良く見えるので、一度訪ねてみたかったところでもあった。

八ヶ岳はすっぽり雲の中、富士山はすっきりという、甲州の冬の朝だった。奥秩父はわりと見えている。白峰三山が雲に隠れているのは残念。総勢7人で大善寺から登りだす。とは言っても境内は通らず、真横の神社が通り道になっている。のっけからの急登には苦しめられたが、それも送電鉄塔までで、あとは少し楽になった。

朝方の高速道路からはすっきりと見えていた富士はしばらくは前山に隠されて見えない。やっと頭を見せるころには雲がかかっていた。もっとも眺めの良い場所まで行って昼の大休止とした。じっとしていると寒いが風がないのがありがたい。

最新の地形図からも消えていないのだから、はっきりした道があるだろうと思っていた深沢への下降路は、よほど注意していないとわからないような入口だった。字のほとんど消えた手製の道標が木にぶら下がっていたが、小さいのでこれもわかりにくい。径もそれなりで、葉の茂る時季なら厄介だろう。地形図で見るとおりの急坂で、地面の状態が良くないのでさらに大変だった。

たどり着いた神社は山火事で焼失後に再建されたものでまだ新しい。高尾山飯縄神社という。この背後の山だから、勝沼では宮宕山だったものが高尾山になってしまったのだろう。

神社からは参道があるだろうから簡単に下れると思ったが、それまでよりは良くなったものの、整備された径とはいい難い。この神社にお参りするのは大変だと思った。参道は廃校になった深沢分校の上に出て、そのすぐ下が県道だった。

家に帰ってからネットを見ると、勝沼駅から宮宕山に登ったら、この径で深沢に下り、大日影トンネルをくぐって勝沼駅に戻るという行程で歩いている人がいた。なるほど、これなら駅までかなりの近道になるうえに、今では観光名所になっているトンネル見学もできるというわけで、なかなかうまいことを考える人がいるものだと感心した。それにしても深沢への下降路は好事家向きであることは間違いないので、誰でもというわけにはいかないだろう。

がんこ山(谷戸)

悪天との予報に、今まででもっとも雨にはたたられた今年の木曜山行はついに最終回まで駄目かと思っていたのが、日が近づくと好転してきた。しかし晴れるのは午後からだという。最終回はあとに納会が控えているので、午後早くには下ってこられる山にしているわけだが、それなら展望を楽しめるような山にすることはないと、津金のがんこ山を選んだ。

ところが早くも朝から青空が拡がった。なんだそれなら他の選択肢もあったものをと思ったが、計画をそれから変えるのも面倒なので、予定通りに出かけることにした。

がんこ山の名前は先年亡くなった坂本桂さんから聞いた。地元の人に聞いてくれたわけだが、字はよくわからない。津金のおいしい学校の明治校舎の向こうに見える台形の山である。

藤岡神社の参道の石段から始まる尾根は、この山を通って笠無に至る。地形図を見て笠無に登る最も美しいルートだと思い、木曜山行で登ったことがある。

藤岡神社は、その裏手にある石仏群が見ものなわけだが、その何体もが倒れていた。自然とそうなったのか人為かはわからない。整地して置き直すのがいいと思うが、地元でやるべき作業であろう。

中腹以上まで登ると、いかにも津金の山らしい明るい広葉樹の林となる。ふかふかの落ち葉を踏んで頂上に立った。枝越しに白い山が見えるのはこの季節ならではである。思いついてすぐに出かけられる距離と高さ、そして静かな津金の山はありがたい山である。

夕方からは今年の納会である。山歩亭を借りてのことだから、誰に気兼ねがないのがうれしい。たわらさんが手配してくれた豪華な料理や各自が持ち寄った美酒や食材が所狭しとテーブルに並べられ、10人がそれを囲んでのクリスマスイブ大納会となった。


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