やまのいも・あきのきりんそう
 
 
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やまのいも(山の芋) 山・野に自生するから、やまのいも、じねんじょ(自然薯)ともいう。

わたしが子供の頃には家の庭の隅などにも細い小さいのが生えていた。この種子が茶色に枯れて半透明の半月の翼を3枚開いたような形になったのを、鼻の頭に貼って天狗の鼻と遊んだのを覚えている。

この根っ子は丁寧に掘り取れば、とろろとして食べることができるが、野生のいもは細いうえによじれたりまがったりして、折らずに掘るには道具と技術と、相当の労力、時間が必要だ。

昔、苗場山からおりて泊まった逆巻温泉で、朝食に、やまいものすりおろしが1皿出た。かなり濃い灰褐色で、つやのあるもちもちとしたかたまりであった。箸でちぎろうとしても簡単ではない。

「これなんですか」と聞いて「やまのいもですよ」とおしえられたのだが、栽培物のとろろ芋とは全く別物の観があった。

やまのいもには、むかご(零余子)もできる。

むかごは、葉のつけ根にできる珠芽で、ユリの仲間などにも出るが、普通むかごといえば、ヤマノイモのものを指す。大は親指の先ほどから小は小豆ぐらいまで、極小の馬鈴薯のような姿をしている。

これは見つければ簡単に取ることができる。から炒りして塩をふってもよいし、しょうゆをからめてもよい。他には炊き込みご飯が一般的かもしれない。

 
 
あきのきりんそう(秋の麒麟草)は山すその野原から中低山の上まで、晩夏から霜のおりる頃まで、黄色の小花を長い穂状にたくさんつけて咲く。山を歩く人ならば、きっと見覚えがあるだろう。

わたしもずっと昔、子供の頃から見知っていた草だが、食用になるとは思っていなかった。

ところが、春の若葉も、秋の花も食べられるのだという。若葉は茹でて浸しもの、和えものに、花は薄いころもをつけて天ぷらにするか、汁ものにすることもできるという。いずれにしても、彩りを添える1、2本がよいのではなかろうか。

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