まつよいぐさ〈2〉・みぞそば

まつよいぐさ(待宵草)も青い秋空によく似合う花だ。低山の道端や河原などに点々と生えている。

明るい黄の花色と夕方に開花するせいで、間違いと知っていても、つい月見草と呼びたくなる草である。

この若い葉が食べられることは、「まつよいぐさ」ですでに紹介したが、その後、花や蕾も食用になり、また、花の色が加熱に耐えられることが判った。

そこで思いついて、次のような料理法を試してみた。

ながいもをすりおろし、片栗粉を適宜加えてわずかな塩味をつけた「たね」を用意する。

まつよいぐさの花は、1輪ずつにし洗って水気を切る。

テフロン加工のフライパンを中・弱火にかけ、サラダ油を薄く全体に敷いて、ながいものたねをスプーンで、径4cmほどに丸く、間をあけて6、7個落とす。

縁が乾いてプツプツいってきたら、それぞれにまつよいぐさの花を乗せて裏返し、こげないうちにすばやく取りだす。

器に盛って生姜じょうゆで食べると、ほのかな香りもあって割合おいしかった。

あるいは、おやつ風に蜂蜜などをかけてもよいのではなかろうか。


みぞそば(溝蕎麦)は夏から秋にかけて、かわいらしいピンクの花を群れ咲かせ、まわりを明るくする草である。奥武蔵の子の権現の麓とか、東海道の相模から駿河にかかるあたりの低山の下で大きな群落を見たおぼえがある。

だが、この花はうっかり手を出すと「イタッ」と声をあげることになる。茎に細く鋭い刺毛が下向きに生えているからだ。
 
よく似た花にママコノシリヌグイという、とんでもない名がついたのも、この刺毛のせいなのだ。

この花を食べられると判ったのは最近のことで、その方法は、花だけをばらして酢を落した湯で茹でて、甘酢和えなどにするとよいそうだ。『道草料理入門』(大海勝子・文化出版局)で知ったのだが、この本はおしゃれな山・野草料理がカラー写真で紹介され、楽しく読めた。