ゆりわさび・まつよいぐさ
 
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ゆりわざび(百合山葵)は、東京近くの低山で春早くに見ることができる山菜だ。小さな流れの畔などに、ひっそりと白い小花を咲かせているが、とても小さい草なので気づかない人も多いだろう。

見つけたら、根を引き抜かないようにして、茎の根元を刃物で切る。少量ならば、よく洗い、そのまま刺身のつまなどにする。量があれば、熱湯をかけたあと湯をきり、密封容器に入れて冷ます。そして、数時間冷蔵庫に入れてから浸し物にするとよい。わさびよりは弱いが、同じような香気と辛味が味わえる。

 
 
まつよいぐさ(待宵草)は月見草と呼ばれることもあるが、本当のツキミソウは白い花の咲く別の植物である。まつよいぐさは夏から秋口まで黄色の花を咲かせて、オオマツヨイグサ、メマツヨイグサなど数種の近縁種がある。

太宰治が「富士には月見草がよく似合う」と書いたのは、このマツヨイグサのほうだとされている。

まつよいぐさは、寒中にも枯れずに地面に貼りつくようにロゼット状の葉を広げている。手ざわりの柔らかい葉を根元から摘み、茹でて水にさらし、ごま和え、くるみ和えなどにしたり、炒めものにする。

2007年、創刊80年を記念して出された岩波文庫の1冊『新編 百花譜百選』(木下杢太郎画/前川誠郎編)に「おほまつよひぐさ」があり、「この種はフランスにてはサラドとして食ふ。根は牛蒡の代用として食ふ」という記述がある。

花や蕾も茹でて酢のものにできるという。