かのした・きぬめりがさ
 
 
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かのした(鹿の舌)は、ぶなはりたけと同様傘の裏が針状だが、こちらは軸があって、地上に生える。ぶなはりたけを調べた時に和名カノシタのこのきのこも覚えたのだが、実物を収穫して食べてみたのはずっと後の、いまから2、3年前のことだ。

山梨のあまり人の行かないカラマツとミズナラなどの混じった山だった。登ったのは11月末近く、ふと足もとの脇を見るとこのきのこが3、4本落葉の下に半ば顔を出していた。周辺を捜すと、さらに何本か見つけることができた。

「バターたっぷりのオムレツにするのがおすすめ」と読んだ記憶があったので、さっそく作ってみたら、期待通りのおいしさが口のなかにひろがった。

 
 
きぬめりがさ(黄ぬめり傘)も、晩秋、霜がおりて、指先が冷えるころに出るきのこだ。

カラマツ林の落ち葉の中にレモンイエローの小さな円が点々と散らばったように見える。

ふわふわと積った落葉を半分被ったようなのもあり、傘の径が2〜4cm、軸の背丈も3〜4cmと小さくて、全体に弱いぬめりがあるために泥や落葉が着きやすい。

そのため、ある程度の量を採集するのには、かなりの根気がいる。そんなことから別名こんきたけと称ばれるようになったらしい。

丁寧に採る人は、鋏で切り取り、落葉などを取り除いて、このきのこだけ別の容器に集めるという。そうすれば、あとの下ごしらえは、ずっと楽に済ませることができるというわけだ。

色が美しいので、なるべく手早く熱を通してマリネにするか、まるごとのきのこ飯にすると可愛い形が楽しめるという。 


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