かりん・ゆず
 
 
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かりん(花梨)の果実は喉によいという。果実酒や、のど飴などの製品をよく目にすることがある。

晩秋、初冬のころ山へでかけて、山道にかかる前の林道などで、落ちたかりんの実が幾つもころがっていて、車にひかれたり人に蹴とばされているのを何度か見た。これを一つでもいかして使えないだろうかと思っていたが、『山のごちそう』渡辺隆次著(ちくま文庫)を読んで「かりんピール」をつくることにした。かりんは、山ではなくて自宅近くの道端で拾ったものだが、本の教えにしたがってつくると、ほんとうに、あの固くて白い実がどうしてこうなるのかという変身を見せ、赤く透明感のあるピールができあがった。味もなかなかのものだった。

 

ゆず(柚)は、山中の廃屋の傍らなどで、美しく輝く黄色の実をたくさんつけた木を見ることがよくある。

ゆずといえば、古くから和食にさまざまに使われて、ゆずみそ、ゆずこしょう、お正月の柚釜のなます、ゆべしなど人によって思いつくのは色々だろう。最近は、ゆず茶というのが流行りらしく、お店の棚にその瓶をよく目にする。

昔、冬の寒い山から下りて来て、駅前食堂でたのんだ肉うどんの上に、へぎゆずのひとひらが乗っていて、気持ちまでもほっかり暖かくなったのを思いだす。

わたしがよくつくるのは、母親ゆずりの「ゆず大根」だ。大根は四つ割、または六つ割にして2、3mmのいちょう切りにする。ゆずも縦四つ割にして同じように薄切りにする。鍋に大根、ゆず、少量の輪切唐辛子、砂糖、醤油の順に2、3段重ねに入れて、そのまま弱火にかける。蓋はしないで火加減に注意しながら、全体が透き通った飴色になるように煮る。水は全く加えない。ピリッと甘辛で、ゆずのかすかな酸味があり、よく火が通っているのに大根のしゃりしゃりした歯ざわりが残っていれば上出来だ。

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