つゆくさ・べにたで
 
 

つゆくさは、ちょっとした空地、庭の隅、街路樹の根もとなど、どこにでも生えて、夏の朝小さいながら快晴の空のような、きらっと青い花を咲かせている。だれでもが、見て知っている草だろう。

子どもの頃、つゆくさの蕾や咲き終った花を、ままごとのかしわもちに見立てて遊んだ。実際に、山帰来(さるとりいばら)の葉に包んだ関西のお餅に形がそっくりなのだ。

でも、このつゆくさを本当に味わったことがある人は、意外に少ないのではないだろうか。
 
ゆでて、辛子酢味噌などで和えてもよいし、いためても、天ぷらにしてもよい。くせがなく、食べやすい野草だと思う。

 
 
べにたで(むらさきたで、あかめたで)といっても、ご存知でない方が多いかもしれない。お刺身のつまについてくる、6、7ミリの赤紫で楕円形の葉を2、3枚つけた、根までついて2、3センチしかない草といえば、「ああ、あれか」と思い当るのではないだろうか。刺身のつまほどでは小さすぎて分らないが、大きく育てば葉は10数センチにもなって、たで(蓼)の証拠にヒリリとした辛味がでる。

子どものときから家の庭にあって、夏のそうめんや冷奴の薬味として、大きな葉を糸のように細くきざんで味わってきた。

しかし、このべにたでは、関東では野生のものを私は見たことがない。もとは、母方の祖父が、故郷の四国から持ってきて植えたものだろうと思う。


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