やぶがらし・いたどり
 
 

どちらも、平地から低山にかけてどこでも見られる、いわゆる雑草といってもよい。

やぶがらしは名のとおり、ほかの木に絡んではい登り、覆いかぶさって、薮でさえ枯らしてしまう生命力がある。街なかでも駐車場やグラウンド、小公園の金網塀などに絡まっているのを、よく見かける。

新芽が伸びてくるときに茎は直立して、芽の先が下向きにUターンしているのがおもしろい。

この先端の葉がひろがりかけたあたりで摘んで、巻きひげを取り除き、熱湯に入れて少し長めにゆでる。それを水にさらしてしぼり、刻んで芥子じょうゆなどで和える。

また、少々ねばりがあるので、わたしは細かく刻んで納豆にまぜて食べることもある。

 
 
いたどりには、いろいろ変種があるらしい。

同じタデ科のオオイタドリなども含めて、筍のように伸びてくる新芽を、そのすっぱい味からスカンポと呼んで、塩をつけてかじったりすることもある。この仲間も生命力旺盛で、都会のアスファルト舗装のひび割れから芽を出していたりする。

塩で漬けると、ちょっとぬめりのある風変りな浅漬になるのは知っていたが、数年前に福島のそば屋の「しながき」にあった「いたどりのきんぴら」がおいしかった。前年に採って塩蔵したものを、塩抜きをして、きんぴらに煮たのだと聞いたが、まだ、試してみたことはない。採ってから口に入るまでに1年以上かかるというのは、やはり大変だ。

5月半ばのこと。金波美峠へ上がる車道を車で一気に登ってしまうのは惜しいからと、その手前1時間くらいのところでタクシーを降りて歩いた。同行の皆が歩いてよかったという、うららかな新緑の道で、車道とはいえ軽トラック1台とすれ違っただけで歩行者は皆無。その道路の法面にいたどり、ふき、かきどおし、くずなどが、それぞれ新芽を伸ばしていた。

先に紹介したきんぴら以外の別の料理法をと思って、まだ赤味の残る柔らかい芽先の少し下から折り採って帰った。

天ぷらにすると、赤い葉の色も少し残って彩りとしてもよいし、味も無難なものだった。

柔らかい茎を少し長く採って、茹でて水によくさらし皮をむいて、ごま和え、くるみ和えなどにしてもよく、油たっぷりで炒めて、味噌味にしてもよいという。

これは仲間のオオイタドリのことではないかと思われるが、土止め用に英国に持ち込まれたものが、繁殖力の強さから在来の植物を圧倒して、今は外来有害植物として駆除されていると聞いた。植物に悪気はないのに人がかかわると、こういうことが起きてしまうのが残念だ。おおいたどりも同様にして食べられる。


横山康子の「摘草と山菜」トップへ