ゆきのした・どくだみ
 
 

どちらも山菜とはいえないかもしれない。ことにどくだみは平地に生える草だろう。共通しているのは、まず売ものにはされない、自分で見つけて採らなくては、手に入らないことだろう。

ゆきのしたは、低山の沢沿いなどに自生しているものもあるが、庭などに植えられることも多い。株の根元からランナーを伸ばして、その先に新しい小さな株を作るので、どんどん殖える。

虎耳草と漢字をあてるのが、なるほどと納得のいく丸っこい厚手の葉の全体に粗く短かい毛が生えている。5月頃になると株の中央から直立した花茎が伸びて、細い枝先にぱらぱらと白い花をつける。花の形は5弁の下側2枚の花弁が大きく、大の字の形になる。近い仲間に、ダイモンジソウがある。

どくだみ(漢方名は十薬・叢菜 ジュウヤク・シュウサイ)は、近年の健康指向で、どくだみ茶が流行ったので、それで知った人も多いかもしれない。人家の裏庭や、塀の下、公園の植込みの陰などで見つかる。これも繁殖力旺盛な草だ。
 
梅雨の頃に、雨や曇りでうすくらい空のもと、くっきり白い花を濃い緑の葉の上にしゃんと上向きに開くどくだみは、その臭気にもかかわらず好きだという人が割りに多い。白い花と書いたが、白いのは花弁ではなく包葉なので、正確には花は芯のように見える中心の薄黄色の部分だ。

ゆきのしたも、どくだみも、てんぷらにするとおいしい。葉の裏だけに衣をつけて、からっと揚げる。
 
どくだみの匂いは、油の高温で消えて、もっちりした独特の歯ざわりがある。

最近になって根(根茎)を炊込みご飯にすると知り、実際に試してみたところ、なかなかオツな味だったので、その作り方を紹介しておこう。これは『里山摘草料理歳時記‐越後桑取谷の四季』(篠原準八、佐藤秀明/東京書籍)に教えてもらったものだ。

抜いた根はよく洗って、塩少々を入れた熱湯で茹で、臭みがとれるまで水にさらす。さらした後に、ひげ根のついた節を切り除いて、白い部分を5ミリぐらいにぶつぶつと切る。

これを普通の水加減の米に酒と塩少々と一緒に加えて、ご飯を炊けばよい。

出来あがったらよくまぜて盛り付ける。


横山康子の「摘草と山菜」トップへ