たらのき・さんしょう
 
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たらのきは、植物としての和名だが、山菜としては、たらのめと呼ばれるように、芽の時期だけしか食べられない。山菜のなかではあくの強さがなく、香りも味もおだやかだから、鋭いとげで身を守っているにもかかわらず、多くの人にねらわれる。

かつて、塩山から柳沢峠を越えて、多摩川上流の落合までバスが通っていたころ、柳沢峠にバスを止めた運転手氏は、「きょうは富士山がよく見えるから、10分休憩するよ。ゆっくりお山を見てください。その間ちょっとタランボを採ってくるから」と、さっさと近くの薮の中に消えた。

そのころは、そんな所で簡単に採ることができたのだが、その美味を知る人が多くなって、車道ばかりか、登山道の脇でも早いもの勝ちで採られてしまい、めったに見つからなくなってしまった。

 
 
さんしょうは、古くから日本料理のあしらいもの、香辛料、薬味として使われてきたので、「木の芽」の呼び名で、季節になれば八百屋、つまもの屋で売っている。庭に1、2本植えてある家も多い。だから、山菜とは思っていない人も多いかもしれない。

関東周辺の山を歩けば、たいていの所には生えているのがさんしょうだ。場所によっては山椒山とか山椒沢とか名づけたくなるほど、はびこっていることもある。

あまり人の歩かない踏跡をたよりに薮をこいでいる時など、しばしばとげに引掻かれたり、衣服にもからだにも染みつくのではないかと思うほど、強烈な香りに包まれることがある。そんな時、数分ずつ立止まって、かなりな量の新芽を集められれば、煮ることで、かさはぐっと小さくなるが、香りと味わいの深い佃煮にすることができる。

はじめに、日本料理のと書いたが、そればかりとは限らない。最近見た、新聞の料理コラムに、「じゃがいもとツナの炒めもの」というのが載っていて「最後に木の芽を細かくきざんで散らし、からませる」とあった。


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