つくし、よめな
 
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最初につくしを知り、自分の摘んだものが、晩のおかずのひとつになって「春がきたねえ」と話題になるのがうれしくて、よもぎ、よめな、かんぞう、とつぎつぎに覚えていった。それらはみんな家の近くの道端や原っぱに、春ごとに顔をだしていた。

つくしは梅干を入れて甘辛く煮て、おいしいおかずになった。よもぎは、お彼岸のぼたもちや草だんごになり、よめなは緑が美しく香りのよい、よめな飯にした。

そのころは料理は親の受持ちだったが、つくしのハカマとりは、こども達の仕事とされていた。これは、四国愛媛で、ものごころついた、わたしの両親が受けついできた、わが家の食文化だった。

なお、後年お付合いいただいた、深田久弥さんに伺うと、石川、福井で生れ育った深田さんも、やはり、つくしは好物だといわれたので、山歩きのついでに摘んだつくしを、何度か、世田谷松原のお宅までお届けしたことがあった。

そんなあるとき、玄関に出てこられた深田さんが、「今夜帰って来るんだが、いまは家内が留守でねえ」と、なんだか腫れぼったい顔をされていた。

後日、志げ子夫人によると「あのときは、折角用意して置いたおかずに手をつけず、このわただけなめて、お酒を呑んでいたので、じんましんが出てしまったのですよ」という話。つくしがじんましんに効くかどうかは分らないが、花粉症には、本当にそうした効果があるらしいと最近の新聞記事で知った。 

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