雲取山・3
  1981(昭和56)年10月27、28日

青森駅前は広場をはさんで「大黒鮨」という寿司屋があり、そこのご主人の今井良平さんとは長い付き合いになる。

最初、南アルプスで青森から来たという一戸義孝さんと知り合い、そして、その一戸さんを介して今井さんを知るようになった。

今井さんは山が大好き、スキーが大好き、カメラが大好きという人で、私が青森へ行ったときは八甲田を案内してもらい、また、家にも泊めてもらった。この雲取山は、今井さんがご用あっての上京ついでに、「それでは東京都の最高峰にご一緒しましょう」となった2日間。

コースは鴨沢‐ブナ坂‐奥多摩小屋(泊、あいにくこの日は岡部仙人がいなくて無人だった)‐雲取山と登り、下山はブナ坂へ戻ったのちに巳ノ戸谷林道を日原へでた。

なお、今井さんは山田哲郎さんと同じ1929年のお生まれ。若い頃からオツムは立派なもので、巷間、バンジュン(伴淳三郎)と望月達夫さんと掛け合わせると今井さんになり、今井さんとバンジュンと掛け合わせると望月さんになるとの噂だった。 

両日ともあまりよい天気ではなかったが、2日目の朝、奥多摩小屋を出た途端、目の前に富士山が見えたときは、今井さんは大感激。「あっ、富士山……」と立ち止まったきり動こうともしなかった。

(2013.3)                       

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