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       猪狩山 (羅漢寺山) 2014.12.25



「俗悪な」「大失敗」「悪趣味」「情けない」「気分の打ちこわし」「顔を背けずにはいられない」「これほど印象を悪くするものはない」「地元の猛省をうながさなければならない」「嫌な所である」「閉口である」「落胆させられる」「うんざりする」「いよいよ失敗である」

昭和10年に出版された『奥秩父・続篇』(朋文堂)は、奥秩父を語るときには欠かせない文献である。上にあげた語句は著者の原全教が昇仙峡の解説の中で使ったもので、なんとまあこてんぱんにけなしたものである。

当時の日本人の大多数がさして不快とも思わないから、昇仙峡のような「元祖日本の観光地」が出来上がったのだろうから、現代ならいざ知らず、原全教のような考え方はずいぶんと先進的、もしくは都会的な感覚だったのだろうと思う。

ロープウエイがかかって、羅漢寺山にも俗悪が登って来たのはご覧のとおり。「美しい自然を守ろう」と書かれた看板が景色を壊しているのは冗談としか思えない。もうやけになって、俗悪な施設を利用して写真を撮ってもらった。

もっとも、パノラマ台駅付近だけは見なかったことにして急いで通過すれば、他はごく静かな山域なのはうれしいことで、古道を探して何度も訪れた、私のお気に入りの山域ではある。

(2020.5) 

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