下福沢~パノラマ台~金桜峠 (茅ヶ岳

先週、中山を歩いた翌日から風邪気味になり、これは今はやりのインフルエンザかと期待したら、2晩で嵐は過ぎ去った。

最近はハードな山歩きはしないけれど、病み明けとなればさらに簡単な山にしたい。たまたま初めてロッジにお泊まりの東京のSさんに、木曜は山に行くので参加してみればと誘ったら、ではそうしますとなったので、帰京するにも都合のいい甲府近辺で探すことにした。

となると、近場ではちょうど紅葉の時季であろう昇仙峡あたりになって、しかし人出は避けてとなると、ルートはだいたい決まってしまう。たいていのところは最近も歩いていて新味はないが、ひとつだけ、かつての敷島町で整備された、下福沢からの自然観察路はほぼ10年前に歩いたきりだったので、それを久しぶりにたどってみることにした。

せっかくの好天だし、Sさんが昇仙峡は初めてだというので、行きがけは車で昇仙峡を眺めながらにしたら、どこの駐車場も一杯で、今が人出の盛りらしい。平日でこれでは週末はどうなっているのだろう。我々の住む場所では、紅黄葉は良くはないとはいってもそこそこ色づきはしたが、昇仙峡の今年の紅葉はまったくダメに思える。

下福沢からの道は半分以上は車道歩き、一般車は通行止だから車にわずらわされることはないが、そもそも車が通ったことが久しくなさそうだ。人が歩いているようにも思えない。路面は落ち葉に埋もれ、下が舗装されているとはまったくわからない(添付画像)。

車道終点から急登しばしで、こんどは御岳町からの林道に出、パノラマ台に到着する。これまでまったく人がいなかったのが、一気にロープウエイでやってきた観光客だらけになった。

彼らにわずらわされない一角があるので、そこで昼を過ごしたのち、再び御岳町への林道に戻る。途中の大伐採地から大展望を楽しみつつ、金桜峠まで再び人の姿はまったく見なかった。

笠無(谷戸)

Iさんがご近所のMさんを紹介してくれて、先週に引き続き木曜山行に新人さんが参加することになった。昨今なかった椿事である。

好天の祝日となればどこでもというわけにはいかない。Iさんのご近所なら私にとってもご近所で、ならば、普段の生活ですぐそこに見ていながら、おそらく注目したこともなければ登ったこともない山にしようと選んだのは笠無だった。大泉や高根から見たとき、秀麗なラインを引いた文字通りの笠形は、しかし背後にある大山岳に埋もれて注目されることは少ない。

笠無の稜線をすべて登ってやろうと張り切っていたのは、もうずいぶん前のことで、登るのは5年ぶりとなるのだから間が空いたものである。

今回、楽に登ろうと選んだ登路は、植林が成長して以前の印象とかなり変わっていた。しかしそれも麓近くのことで、主稜線に出てしまえば、美しい林はそのままだった、深く積もった落葉を踏んで明るい林を歩く気分は今の季節の醍醐味である。

頂上の西で枝越しの八ヶ岳を望んで昼休みとした。穏やかな日で、ここでいつまでも過ごしていたいくらいだった。

おとなしく往路を戻るつもりだったが、山の経験は長いが道のない山は初めてだというMさんが、そんな山ならではの難所をまったくものともしないのを見て、違うルートで下ってみることにした。このルートを、私は登ったことはあるが下ったことはない。傾斜がおそろしく強いので、地面が柔らかいことがわかっていなければ下れない。

ちょっと下りすぎて駐車場所まで登り返すという失敗はあったが、その途中で出くわした大伐採地から八ヶ岳の大展望が得られたのはケガの功名だった。
片山(甲府北部)

ほぼ全山が広葉樹に覆われた片山(大宮山)は暑い夏以外はいつでも散歩するのに最適な山である。なかでも西の平(ここが本来の片山)に植えられたカエデの紅葉は見事で、ほとんど10年来その時季に通っている。

10年も通っていれば、これ以上はなかろうという見事な色も見てきたし、気候のせいで期待できそうもない今年は別に行かなくてもいいかと思っていたのだが、おとみ山のリクエストがあって、それなら別に異論もない。

なにせおとみ山の赤(紅)好きは人並みはずれていて、どんなに見事な黄葉であろうとも、「もっと赤があったらなあ」の一言が出る。「真っ赤な秋」でなければいけないのである。でも、そもそも甲州の山は黄葉の山なのである。きっとホームズでは「赤毛連盟」が一番好きに違いない。カラオケでは「赤色エレジー」を歌い、ははぁ、なるほど、それで車のナンバーが2899なのか。

片山すなわち武田の杜は全山が公園のようになっていて、おびただしい歩道が張り巡らされている。それらもほとんど歩いてしまって、残りはほんのわずか、今回は、そのわずかに残った数百メートルも歩いて、まずコンプリートとなった。

それはともかく、今年のカエデはおそらく完全に紅葉する前に葉が落ちてしてしまったのだと思う。カエデは落葉したあとも、こんどは地面が紅くなって見事なものだが、それが早くも干からび、色を失っていた。

ま、それはそれ、今年の状態を楽しめばいいことである。植林のカエデはそう裏切ることもないから、西の平でもそこそこ美しかったし、木によっては見事な紅葉もあった。何より、完全貸切のお座敷から甲府盆地を睥睨する気分のよさ、すっきりとした富士山、ぜいたくな山散歩であった。

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