鉄砲木ノ頭 (駿河小山

N女史他、3人の関西からのお客さんなら富士山方面がいいかと考えて、ほとんど記憶にないくらい前に行ったきりの鉄砲木ノ頭に登ってみることにした。遠いし、人が多い山中湖だから、地元の人たちだけでは、こんなことでもない限りは出かけることはないのでいい機会でもある。

木のないその山肌から、山中湖畔の山々ではもっとも目につくこの山は、折しもその目立つ理由のススキが美しい時期を迎えており、三国峠への車道には大勢のカメラマンが三脚を立てていた。

そんな時期だから人出を覚悟していたが、三国峠にはほとんど車はなく、頂上に数人がいた以外には人影はなかった。しかし、昼を過ごすうちには続々と小学生の団体が登ってきて、瞬く間に広い頂上を埋め尽くしてしまったので、それを潮時にパノラマ展望台へと下った。

Kさんが夏には富士山登頂を果たしたというので、それではと帰路に北口本宮にお参りし、富士山の一日の大団円とした。

岩村城址(岩村)

2008年以来、毎年のように訪れていた大鹿村だが、コロナ騒ぎ以来ご無沙汰で、今回は4年ぶりの訪問となった。大鹿村といっても、定宿の延齢草に泊まるためというのが目的のほとんどで、とはいっても山旅となれば山歩きを加えないわけにはいかない。

ところが行き帰りに立ち寄る山も、軽く歩けそうなところはあらかた登ってしまった。大鹿村内に入ってしまえば、あたりは、おいそれとは登れない山々ばかりなのは、行ったことのある人にはわかるだろう。

今回の参加者のほとんどは、5月の笠置山山行のときと同じである。初日の笠置山は好天だったが2日目は雨になり、山はあきらめ岩村城下町散策に切り替えたものの、雨脚強く、肝心の城址までは行かずじまいだったのが少々心残りだった。

そこで名古屋組との合流も勘案し、今度はきちんと岩村城址まで歩いてみようと、恵那集合としたのである。

幸いにも、今回は願ってもないような晴天になった。観光地ゆえ、秋の好日の人出を心配していたが、拍子抜けするような静けさだったのは意外だった。前回は街並み歩きも半分くらいははしょったのを、岩村駅から城址まできちんと歩いて面目をほどこした。建物のなくなってしまった城址は、往時を想像させる石垣こそが魅力で、次々に現れる複雑な構造に飽きることがなかった。

たどり着いた頂上からは御嶽山や恵那山が眺められ、山岳宗徒も満足できたのだった。

山梨組にとっては、えらく遠回りして、暮れる直前にようやくたどり着いた延齢草は、4年ぶりとは思えない、時間が止まったかのようにそのままで、相変わらずの佐藤夫妻の歓待に夜は更けていった。
笠松山(飯田)

大鹿村山行の2日目は、名古屋組の帰りも考えて、飯田市の風越山の前衛、虚空蔵山を考えていた。なにせ飯田といえば風越山で、しかし、頂上まで行くのは我々にはちょっと厳しいかと、せめてその途中までともくろんだのである。

ところが出発の前日、ガイドブックを繰っていたら、その隣に笠松山というのがあるのを発見した。地元では知られていても、私にとってはガイドブックにある山々のすべてが目新しい。

33体の観音様が道々に置かれているというし、頂上展望所からの展望が抜群だとある。それであっさり、そちらへ計画を変更した。飯田インターからものの5分で登山口というのも好都合である。佐藤さんも仕事を休んでわざわざ同行してくれることになってありがたい。

これが、稀なくらいの歩きやすさと展望の山だった。地元の人以外にはさほど知られていないのが信じられないくらいである。

どうやら、かつて大平街道に接続する交易の道だったらしく、馬が歩けるように整備された道は、けっして傾斜が強まることもなく、登りもさることながら、下りやすさは、さすがに歩く時代の人が造っただけのことはあった。

道々に置かれた観音様を数えながらが登りの励みにもなった。登るにつれ秋が深まり、三十三番観音の置かれた展望所に着くころには圧巻となった。展望所が笠置峠で、少し先にはピークがあるものの、もう満足である。ここでいったんいったん道が下り気味になって続くので峠の名前があるのだろう。

伊那谷からの南アルプスは午後おそいほど良くなる。1時間ほど過ごす間にも山襞がくっきりしてきた。夕暮れ近くまでねばることができるなら飯田の街灯りとともに、すばらしい光景が見られるのではないだろうか。

中山(長坂上条)

いよいよ標高の高いところの黄葉は落葉松をわずかに残すのみで、ロッジ山旅周辺も晩秋の趣になってきた。

それで1000m程度でどこか手ごろな山はないかいなと考え、毎度毎度ではあるが中山に行くことにした。展望の山になって以来、なんど通ったかわからないが、つまりはそれだけの魅力があるからである。

今回は白州支所を出発し、謎岩ルートで展望台ピークに登り、三角点ピークから旧町村境尾根を下って、ゴールを台ヶ原七賢とした。要するに中山白州地内まるかじりルートである。

無風快晴、絵にかいたような秋の好日だった。謎岩を吟味したのち、旧道を登り、11時前には到着した展望台ピークには誰もいなかった。のんびりしましょうよ、という山歩きだから1時間以上も大展望とともに過ごした。

数日前の台風並みの風雨のせいか、道には松葉が敷き詰められて、地面が実に柔らかい。そんな道を鼻歌混じりに下って、最後は七賢にて美酒を味わったのち、白州の温泉にて大団円とした。

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