46.小金沢連嶺・1
    1986(昭和61)年11月11日

望月達夫さんと歩いた大菩薩は小金沢連嶺。

1953年11月以来、私は少なからぬ回数この尾根を歩いているが、これほど好天に恵まれた日はなかったといってよい。見えるすべての山々があまりにもくっきりとして遠い近いの距離感がなくなり、かえって同定が難しくなっていた。

「ごく近いようだが、あれは遠い西丹沢の山々だよ」などと望月さんと驚いたことをよく覚えている。この日の小金沢連嶺縦走は日帰りで、高尾発6時45分の電車に乗り、塩山からはタクシーで小屋平下まであがっている。

歩きだしたのが9時5分過ぎ、小金沢山や黒岳を越して湯ノ沢峠へは2時40分におりた。峠からは真木側にくだって釣り場の電話でタクシーを呼び、大月へ出て帰った。大月では5時8分の電車。

今、そのときの記録を見ると、なかなか快調に歩いているではないかと感心するのだが、30年近い前のこととなれば、こちら二人は50代、望月さんにしても70を少しこしたばかりの、まだまだ元気はつらつの年頃だったのだ。



上 狼平から小金沢山へ登る途中から見る大菩薩嶺方面。背後には奥秩父主脈の山々がずらりと並んでいる。

中 笹藪の深い中を行く望月さん。この頃になると笹藪の中でも道ははっきりしていたが、私が最初に歩いたときは踏跡もかすかで、方向を見定めて藪を漕いでいったものである。

下 白屋ノ丸を越して湯ノ沢峠へくだる途中の眺め。雲が少し出てきたが、南アルプスの白峰三山などはなおよく見えていた。

追記 本欄では、ほかにモノクロ版の「その1」に「小金沢連嶺」 がある。 カラー版では小金沢連嶺をあと1回乗せるつもりなので、ここではカラー版の1としておいた。       

(2015.2)

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