大見山(諏訪

名古屋のやまんばさんが神戸の山友を連れてきてくださることになって、山に出かけるのが金曜日だったので、それならと木曜山行を一日ずらしてしまうことにした。神戸の山友のおひとりとは初夏の木曜山行で八子ヶ峰に行ったばかりである。

金曜日がたまたま13日で、中秋の名月で、しかもおとみ山の誕生日だとはお日柄がよろしい。三峰山に久しぶりに登って、大展望を楽しみながらお祝いもしようという心づもりであった。ところがやはり神のたたりか、霧ヶ峰に登ってもキリは晴れず、しかも雨粒さえ混じる有様だった。

キリの中でお祝いというのも気勢が上がらぬ。ここは大見山に転進して豪華避難小屋で大宴会としましょうよ、という提案に反対する人はいなかった。

展望台といい、避難小屋といい、なんでこんなものがあるのかしらというのが大見山の面白いところで、バブルのころであろうか潤沢な予算が投入されたらしい。

普段でも人なんかあまりいないのだから、こんな天気ならかの避難小屋にも誰もいまいと考えたのだがその通りで、貸し切り座敷にておとみ山のお誕生日祝いとなったのである。おとみ山のバースディだからと久しぶりに参加の方がふたり、長坂のIさんはビールやら月見団子やらを持ってきてくださった。

やまんばさんの山友、神戸のNさんはそのおとみ山よりわずかながら早い生まれだとかで、なんとまあ元気な人たちが勢ぞろい、四捨五入すると「九」が頭にくる年齢ではありませんか。こちらは生気を吸われっぱなしで下山路ではめまいがしたのだった。

夜は夜で、宴会の続きとあいなった。ともあれ、めでたいのかおめでたいのか、ますますのお元気を祈念しつつ、木曜山行の報告としよう。

冷山(蓼科)

去年の夏は今年以上に暑くて、木曜山行では標高の高い麦草峠付近にばかり出かけていた。冷山もその一環で登った山で、名前からして涼しそうなのが気に入ったのと、まだ登ったことのない山だったので興味もあったのである。また、山域内にあるという黒曜石の露頭が見つけられたらいいなと思っていたが、これは結局のところどこにあるのかはわからなかった。

ともあれ、そのときに選んだルートの雰囲気が気に入って、これは納涼登山には最適だと今年もまた登ろうと7月の計画に入れたのだが、例の長梅雨で順延しても中止、それで9月の計画に入れた。

木曜山行の日が晴天なんていつ以来かと思う、さわやかな朝だった。ところが蓼科方面に向かうにしたがって雲が垂れ込め、北杜市あたりの青空がうそのようになってきた。展望を楽しむ山でもないからまあいいかと思っていたのだが、車で登るにつれて雲の上に出て、青空が拡がった。それならと、最近まわりが伐採されて展望台の面目が復活した日向木場展望台にまず寄って、山々の大観を楽しんだ。日本アルプスと御嶽山までが雲海に浮かび、これはなかなかないことだから、早朝出発でやってきた名古屋のNさん、冷山にご執心だった、東京から参加のTさんも来た甲斐があったと大喜びである。これから登る冷山も目の前に見えている。

冷山には下から登る径はいっさいないので、去年とまったく同じに登ることはできない。それでも合理的なルートは限られているから、ほぼ似たようなところを歩いたのだと思う。ときおり記憶にある風景があった。この山のすばらしいところは、頂上に至るまで一切土らしきものを踏まないところにある。つまり終始苔の上を歩く。柔らかい地面は気持ちがいいが、それでも径のない山は標高差以上に絞られる。

好天だと苔の森も明るい。太陽が見えるので方角を確かめることもなく登っていけた。気温が低くて汗をほとんどかかないのもうれしい。昼過ぎには頂上に着いた。偶然にでも黒曜石の露頭に出会えたら嬉しいことだったが、さすがにこの広い山腹ではむずかしかった。

頂上からはわずかで一般道に出るが、例の北八ツの径で歩きにくいことおびただしい。径のないところより、れっきとした径のほうが歩きにくいとはこれいかに。帰りは、去年目を付けておいた、何かの境界らしき踏跡をたどって出発点に戻った。

牛奥ノ雁ヶ腹摺山(大菩薩峠)

牛奥ノ雁ヶ腹摺山の北西稜に径があるのを何かを読んで知り、これを使えば小金沢連嶺が簡単に縦走できると出かけたのは2013年の新緑の頃だった。http://yamatabi.info/2013f.html#2013f3

踏跡程度かと想像していたこの径が、整備に金がかなりかかっただろうという径だったのは意外で、そのわりには喧伝されていないなあと思った。今あらためて地形図を見ると、当時にはなかったはずの、ペンションすずらんからの破線が入っていて、バス利用で小金沢連嶺を縦走する人が増えているのだろうと思った。混んだ大菩薩嶺を歩くよりは石丸峠から南へ歩くほうがよほど良い。

さて、とても印象の良かった北西稜をもう一度歩いてみたいと思っていたのが、昨日の木曜山行になったわけだが、バスの便のない平日では縦走するには準備が面倒だし、「健康登山」としては欲張ることもないわけで、単純に北西稜から牛奥ノ雁ヶ腹摺山を往復するだけにした。

6年の歳月はそれなりの変化を与えていた。入り口付近は伐採によって明るく開けており、展望は楽しめるもののしっとりとした森の雰囲気は失われていた。稜線の中間部はさほど変わらず、頂上直下では、針葉樹の立ち枯れが進み、木の肌もほぼはげ落ちて、なかなかの奇観となっていた。どういった原因でこうなったのかはわからないが、このあたりには風が特別に吹きあたるのであろうか。これらの木々もいつかはなくなって、この山の南側斜面のような、笹原が拡がるばかりの光景となるのだろう。したがって、今の光景はなかなか貴重だといえよう。

誰もいない頂上からは雲間に富士山が頭を出して、すっきりと見えているよりずっとよい。ほぼ2000mの雲上で1時間ほど過ごしたのちは往路を戻る。この径の良さは下りにこそ発揮される。あれよあれよと下って、午後の早い時間に登山口に戻った。天目山栖雲寺を見学したのち、天目山温泉にドボン、甲府盆地に入ってからは、ついでにワイン蔵も見学して1日を終えた。

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