中山(長坂上条)

予報が悪いので順延した木曜山行だったが、大常連おとみ山は金曜日はすでに予定が入っているとのこと。それは仕方ないとして、木曜日も最新の予報ではべつに朝から雨ということもないらしい。

もともとこちらも山の予定でいたのだし、どうせ身体があいているのなら朝の天気をみてどこかの山へでかけましょうかと相談がまとまった。

朝の予報では午後から雨ということだったが、周囲の山々はすべて見えるし、空も青い部分のほうが多い。これで本当に午後から雨になるのかしらんと思ったが、しかし予報を信じて午前中には下ってこられる山というので、去年の暮れから何度も登った中山にまた出かけることにした。ほんの一部ではあったが調べたい尾根があったので、ちょうど都合がいいという私のもくろみもあった。

ぐんぐんと快適に登って、さっさと快適に下ったらまだ11時、ならばと時間つぶしに武川のオータさんの家を急襲して、ちゃっかり暖かい室内で四方山話をしながら弁当をつかわせてもらった。

午後はやく辞するときにはぱらぱらと降り出して、じきに本降りになったのだから、ほんとうに予報どおりで、今日は中山程度でちょうどよかったわけである。都合に応じて適当な山がよりどりみどりで近所にあるのはありがたいことである。


足和田山(鳴沢)

一日順延した甲斐のある好天となった。御坂トンネルを抜けてカーブ曲ると雪煙を上げる厳しい冬富士が大きく目の前に立ちはだかった。私にとっては何千回も見た風景だが、久しぶりに見るとやはりここの富士は大きい。

こちらから足和田山に出かけるなら御坂トンネルを抜ける必要はないわけだが、前の晩にふと思いついて河口湖のW女史に電話をかけてみたのである。いまだに新聞テレビでよくお見かけするからそんなに会っていないような気がしないが、すでに一昨年の暮れ以来ご無沙汰したままだった。

つまり、足和田山にご一緒しませんかとの誘いに快諾をえたというわけで河口湖にまず向かったのであった。同行の名古屋のNさんはW女史の本を私から借りて読んでいたから予備知識充分、木曜山行初参加のKさんも山好きなら当然名前くらいはご存知であったろう。Tさんは十二ヶ岳以来W女史と登るのは何度目かになるだろう。サプライズゲストを加えての足和田山となった。

木曜山行で足和田山に行くのは8年ぶりだった。前回もまったく同じ季節だったが、冬にこの山に出かけるメリットは展望と静けさである。なにせ安全で気軽なハイキングの山だから、冬以外はハイカーも多いし学校登山も多い。それが昨日は二人連れがいたのみ。しかし頂稜の樹林の良さを思うと、人は多くとも、こんどは新緑の季節にでも歩いてみたい。

有名な山に行くにも多少は工夫をしようと、西湖民宿に車回収用に自転車を置き、文化洞トンネルから登って縦走することにした。雪の少ない年だが、さすがに北面の登降だからアイゼンのお世話になることになった。

五湖台に登りついてしまえば、あとは三湖台まで下り基調ののんびりした山歩きである。三湖台ではこの山で最高の展望、すなわち樹海の果てに連なる南アルプスの展望を楽しんだのち民宿村へと下ったが、これはかなりの急坂で手こずった。おそらく民宿村ができたときに無理やり拓いた径だったのだろう。

終始、富士五湖地方のネイチャーガイドもしているW女史の得がたい話も聞きながら歩き、充実した一日となった。

たいら山(茶屋平)(市川大門)

木曜山行で右左口峠から大峠まで縦走したのは2年前だったが、そのときに頂上を巻いてしまったのが932mの三角点で、地形図どおりに北側の巻道があるので、まあいいかとそれを利用してしまったのだった。

帰ってからネットで調べるとこの山が合併でできた中央市の最高峰だったということで、なんだそんなことなら登っておけばよかったと思った。

ネットで調べたというのは当の中央市のサイトだったが、そこにこの山の新しい名前を募集しているとあったのが「たいら山」に決まったという。戦前の古いガイドブックには「茶屋平」とあるのだから、別にそのままで良かっただろうにと思う。

2年前、その茶屋平付近から山之神社にかけて、測量をしたらしき形跡がたくさんあったので、さては市の最高峰に登山道でも整備するのかと思っていたのだが、昨日出かけてみてまるで見当違いだと知った。

私の住所にはまったくといっていいほど雪がないというのに、ずっと標高の低い山之神社の参道入口は真っ白で、結局、頂上まで土を踏むところなどほとんどなかった。しかしこれでは期待していたシモバシラも雪の中で、だが、シモバシラの氷の花は12月くらいでないと見られないかもしれない。

ともあれ山之神社までは別に変化があるわけではない。驚いたのは神社から先だった。何やら行く手が明るい。すっかり木々が切られ、前方上部にガードレールも見える。

なんと車道がぐねぐねと大峠への斜面を蛇行して延びていた。これにはびっくり、測量はこのためだったのである。たった2年でこんなになってしまうとは。

その工事のおかげというべきか眺望はすばらしいが、このあたりは樹林の雰囲気が良く、標高のわりには深山めいた良さもあったのが、すべて失われてしまった。

当然こんな車道は地図にはないから少々惑ったが、無事「たいら山」へは登頂を果たした。ところどころに簡単な標識はあるが、藪山なのはそのままで、まるで整備されていないのは良かったが、ここまで車で来られるようになっては、登山道が立派になるのも時間の問題であろう。

林道には「山之神社」まで5分という新しい看板もあった。5分で行けてはこの神社の霊験もかなり落ちることだろう。

棚山(甲府北部・塩山)

10年に1度という大雪に近所の山でスノーシューでもと思ったが、たとえスノーシューだとしても太良峠からの棚山はちょうどいい高低差だから計画どおりとした。

問題は太良峠までの車道の状態であったが、きれいに除雪してあって助かった。

甲府盆地の上空のみ雲が垂れ込めていたが北の空は青かった。金峰山がひときわ白い。

スノーシューを履いたほうが楽なのかそうでないのかというのはなかなか難しいが、昨日の場合はやはりスノーシューがあったほうが楽だったろう。ことに雪を蹴散らして下るのは気分がよかった。

頂上までは積雪以来初めての足あとをつけたが、頂上には登山靴の跡があったのでほったらかし温泉から登ってきた人があったらしい。

まず好事家しか登らなかった棚山は、最初に木曜山行で登ったときには夕狩沢を遡って最後は藪を漕いで頂上に達したものだったが、数年前にほったらかし温泉からの登路が整備されて以来登山者が増え、そのおかげか頂上の木々が刈られて見晴らしが良くなった。

見下ろす甲府盆地が真っ白で、これはなかなか得がたい光景であった。甲府の積雪は史上何番目かというのだから、この光景が見られただけでもここまで来た価値があったというものだろう。

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