小川山(瑞牆山)

里宮坂では抜きつ抜かれつした登山者も、小川山への分岐以降は誰もいなくなった。径もかぼそくなる。飯森山の北を巻き天鳥川の源流に降り立つ。かつて造林小屋の建っていた草地はじつに気分がよい。ひと登りで八丁平の上部へ出る。ここから甲信国境を北上する稜線が小川山登山の真骨頂である。あくまで柔らかい地面、かぼそい登山道は倒木にしばしばさえぎられる。ここを「本当の秩父の山中」と書いたのは原全教であった。
武石峰〜王ヶ鼻(山辺)

展望が身上のコースだから天気が心配だったが、美ヶ原林道を登るにつれ、みるみる雲は晴れ、北アルプスの峰峰がせいぞろいした。レンゲツツジの葉はもうすっかりくすんだ赤だ。日ざしにも夏の強さはない。風はあくまで心地よい。焼山の牧場では牛が平和に草を食んでいる。落葉松はところどころですっかり黄金色。雲上の楽園のような初秋の美ヶ原北方稜線である。王ヶ鼻では眺めを楽しみながらの長い昼休みとなった。車の回収には自転車を使った。
剣ヶ峰(川浦)

玄関先に車が横付けにできるような山だから、歩く距離はごく少ない。林道をしばらく歩いて西側から山に分け入る。植林の落葉松林は明るいが、南尾根に達すると、山の東側はいかにも奥秩父らしい森が残っていた。頂上から眺められた奥秩父の主稜も樹林に隠されていたが、これが歳月というものだろう。笹の美しい狭い頂上には、おかげで木陰ができ、ゆっくりと昼のひとときを過ごすことができた。同行の横山さんの文章はここで。
小遠見山(神城・白馬町)

大町が近づくと白馬三山が雪化粧しているのがはっきりとわかった。ゴンドラ駅は1500mだが、山梨県の同じ高さとは雰囲気が違う。紅葉は今ひとつで、ナナカマドの赤もくすんでいる。先週の台風のせいか、ダケカンバの葉はすっかり散っていた。頂上からは全貌を現した五竜岳がすばらしい。南へと連なる北アルプスの稜線には、ちょこんと槍の穂先がとがっている。底抜けに青い空にはパラグライダーが舞っている。申し分のない眺めの中で昼のひとときを過ごした。
兎薮〜金ヶ岳(若神子・茅ヶ岳)

兎薮の山腹を輪切りにする林道工事のせいで少々径がわかりづらくなった。兎薮の頂上が近づくと植林の落葉松がなくなって森の雰囲気が良くなる。落葉の敷き詰められた兎薮の三角点の周囲で昼のひとときを過ごし、金ヶ岳に向かった。頂上直下は実に山深い雰囲気である。誰もいない金ヶ岳の頂上では茅ヶ岳と富士が並んで出迎えてくれた。鮮やかさには欠ける今年の紅黄葉だが、それでも午後の陽に、茅ヶ岳の山腹の色は見事だった。
大マテイ山(七保)

奈良倉山を大マテイ山に変更した。横山ご夫妻に加えて、初顔の4人が現地参加した。色づきがあまり良くないこの秋も、ここではまずまずで、鮮やかなモミジも多い。広い尾根には亭々たる巨樹が多いのに驚かされる。ことにブナの巨木が枝を空に広げる様は圧巻だった。ガサゴソと落葉を踏んで坂ともいえない山径をゆく気分はなんともいえない。初対面の方々とも和気あいあいと旧来の知己のようになるのも、こういった、先を急がない山の良さであろう。

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