2019年に亡くなった三好まき子さんは、日本山岳会図書委員長の要職にあっただけに岳界に人脈も広かった。それで、彼女の運営していた「三好まき子の山の文庫」というサイトには、山に関わる様々な人たちが文章を寄せていた。

横山康子さんの「摘草と山菜」もそのひとつで、2006年くらいからおよそ10年近くにわたって寄稿された文章は、三好さんが本にしたいと言っていたほどの質と量である。しかし三好さんが亡くなったことでサイトが閉鎖され、他の人たちの文章ともども読めなくなってしまった。

私は、世界中のサイトをアットランダムに保存しているサイトに不完全ながら三好さんのも残っているのを知ってはいた(こちらを参照)。しかし、そんな場所にかろうじて残っているのではほとんど意味はない上に、保存が悪いのかレイアウトは崩れ、テキストは重なり読めたものではない。これではもったいないことだとずっと思っていた。

康子さんが亡くなってちょうど1年が過ぎた。はや1年か、それで遅ればせながら前々から考えていた作業をすることにした。すなわち、くだんのサイトから「摘草と山菜」を発掘し、自分のサイトに再構成して転載することである。三好さんも許してくれると思う。ほんとうなら康子さんがご存命中にすべき作業だった。

三好さんのサイトでは文章に自筆の絵が添えられていたのだが、残念ながら、たったひとつしか記録されていなかった。だが、文章だけでも充分に読者を満足させてくれるだろう。 (2023.10 長沢 記)

追記

このページをつくってからまもなくして、横山さん宅で康子さんの原画が発見されたとの朗報が入った。前の文で、文章だけでもとは書いたものの、画竜点睛を欠くなあ、というのが本音だった。これで三好さんのサイトの康子さんのコーナーが完全に再現できる。

さらには、北島洋一さんが、これらの文章と原画を使って動画をつくってくれることになった。朗読には打田瑠美さんという願ってもない適者も得て、ますます康子さんの残したものが光を増すのを喜ぶばかりである(北島さんの動画サイト)