きんぎょそう・なでしこ 

きんぎょそう(金魚草)は、ぷっくり、ひらひらと咲く花の形になぞらえたかわいい名だが、英名はスナップ・ドラゴン(Snap dragon)で、噛みつき竜とは恐ろしい。食材店でエディブルフラワーとしてほぼ一年中売られているが、個人の庭などで育てると4、5月頃が花期となる。

食用になるその花は、赤、桃、白、黄、橙など色も豊富で、ビタミンCを多く含み、味はちょっと苦味がある。軽く火を通す炒め物やサラダによく、和食の和え物の彩りとして一輪を添えたりする。


なでしこ(撫子)もエディブルフラワーとして流通している。その仲間のカワラナデシコは、かつては東京近くの山や河原、原っぱなどで、初夏から初秋にかけてよく見かける花だった。しかし、近年は、そうした中低山では植林された杉や桧の日陰で育ちにくくなったり、鹿の食害でずいぶん少なくなってしまった。

なでしこを、その属名(dianths)の範囲まで広げると、カーネーションやせきちく(石竹)、とこなつ(常夏)なども含まれて、いずれも食べることができる。食材として出回るのは4月から12月までと長い。花の色は白から濃淡様々なピンク、濃い赤まである。

山野で、このかわらなでしこがたくさん咲いているところを見つけても、採るのは飾り用の1、2輪にしておきたいものだと思う。

きんぎょそうもなでしこも、丸ごと飾りに使う場合はがくを取らないが、食べるときは苦味のあるがくをはずすのが普通である。色とりどりの花を細かく刻み、白っぽいクリームチーズやヨーグルト、サワークリームなどに混ぜてディップにするとか、ケーキやサンドイッチにクリームなどで貼りつけて飾るなどの使い方がある