おおいぬのふぐり・ひめおどりこそう 
 
 
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おおいぬのふぐり(大犬のふぐり)は、道端や畑のへりなど、住宅地から山すそまで、日当たりのよい小空間があれば、どこにでも見られる。ヨーロッパ原産で明治の初め頃、わが国に入って来て広がったというが、小さいながらすっきりしたブルーの花が、青い瞳を思わせてかわいらしい。日本在来で、実の形から名づけられたイヌノフグリに似て、それよりも大きいのでこの名がついたというが、花のすがたに似合わないかわいそうな名だ。「ふぐり」の意味は辞書をご覧ください。「いぬふぐり 星のまたゝく 如くなり」とは高濱虚子の句。

図鑑には花期3、4月とあるが、日向の斜面などでは冬にも咲いている。読売新聞の「まちかど四季散歩」には「横浜では12月半ばから……」とあった。  

加熱しても色が変わらないので、クッキーに貼りつけて焼くとよいとは『季節を味わう野草摘み』(西村文子/家の光協会)で知った。

冷やっこ、サラダなどの飾りには生をよく洗って、小さいから味というほどのものはない。葉は茹でても苦いので、クッキーなどには花だけを使う。
         
 
 
ひめおどりこそう(姫踊り子草)は、これも外来種、「ヨーロッパ小アジア原産で、日本、東アジア、アメリカに帰化」と『日本の野生植物』Ⅲ(平凡社)にある。在来種のオドリコソウに似て小型というのが名の由来だが、踊り子の名のもとになった花の形はあまり似ていない。もともとのオドリコソウも食べられるのだが、近ごろはめったに見られないほど少なくなっているようで、食べてしまうなんてもったいない。大群落をつくることもあるというのだが、まだどこかにそんな土地が残っていればよいと願っている。

いっぽう外来のひめおどりこそうは、おおいぬのふぐりと同じような場所に数メートル単位で敷きつめたように群生しているのをよく見る。葉は毛深く、ちりめんのような凹凸があり、1株の上のほうの葉はつけ根近くが紅紫色のぼかしになっているので、淡紫紅色の花とともにけぶったように見える。

10cmぐらいの背丈なので、柔らかい部分を摘んで、茹でて水にさらしてから、おひたし、甘酢和え、マヨネーズなどで食べられる。