パンジー・りゅうきんか
 
 
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バンジー(pansyビオラ〈さんしきすみれ、三色菫〉)は、冬の花かのように11月ごろから花屋の店頭に出て、住宅の塀の外や玄関廻りに鉢植えが並べられたり、商店街の歩道脇や公園の花壇に植えられて、寒い季節から春たけなわになるまで目を楽しませてくれる。

北ヨーロッパ産の原種は、欧州、アメリカ、さらに日本でも各種スミレとの交配がなされ、今日の美しい大輪の花になったそうだ。花の径は、ビオラの3cmほどから大輪パンジーの10cmほどまで、色は1輪1色から3色、絞り、ぼかしなど多様な変化があって、7、8色、あるいは10色以上もあるのではないだろうか。

エディブルフラワーとして売られているものもあるが、化学肥料や農薬を使用しないで育てたものならば、ケーキなどの飾り用に使うことができるし、料理の皿に添えてもよいと思う。

 
 
りゅうきんか(立金花)は、雪国の湿原などに自生し、残雪が消えるころ、雪融け水のほとりに伸びて花をつけ、山菜として知られている。

主に関東の山を歩くわたしには、あまり縁のない草だと思っていたが、近年観賞用の園芸品が東京でもあちこちに植えられるようになった。

わが家のあたりでも2月半ばに花が咲きはじめている。ところが、自生の山菜として知られるりゅうきんかは、花弁のように見える萼片の数が5枚が普通で、まれに6、7枚のものがあるのだが、公園などに植えられているものは「りゅうきんか」と名札がついていて、葉の形は同じようなのだが萼片は10枚ほどもある。気になって『原色図譜 園芸植物』(江尻光一/平凡社)を開くと、これは近縁種のコバノリュウキンカで、ひめえんこうそうとも呼ばれるものであるらしい。

りゅうきんかは、長野の飯綱高原などでは「リュウキンカの金色の大絨毯」になり「リュウキンカの茎は、葉茎でも花茎でもスポン、スポンと気持ちよく折れる。穴ばかりの薄い輪っこの茎である。丸葉が柔らかで、食べ頃だと思った」『春の草木』(宇都宮貞子/新潮文庫)と書かれている。そして花が咲く前に蕾ごと葉と茎を摘んで、茹でて水にさらし、おひたし、和えもの、汁の実などにするそうだ。

なお、リュウキンカはキンポウゲ科でアルカロイド系の有毒成分を含んでいるので要注意。深さ1mもの水流に接して生えたものは、ほとんど無毒だが、水分の少ない地面に生えたのは、茹でてから12時間以上流水にさらすことが必要だという。