まつむしそう・ほたるぶくろ

以前は草原の広がる標高1000~2000mの山を秋に歩けば、たいていの所で、辺り一面をうす紫に染めて風にゆれる、まつむしそう(松虫草)を見られたものだが、近年はそんな出会いもだいぶ少なくなった。

まつむしそうの若い葉が食べられると知ったのは、ずいぶん昔、『楽しいキャンプの山菜料理』(鈴木静夫・山本光子/山溪文庫)を読んでのこと。それによると、洗った葉を塩と砂糖に15分ほど漬けたあと、取出して水けを切る。その葉を油でさっと炒め、葉を深めの皿に取出す。炒めた鍋に、先の漬汁に酢を加え、あれば唐辛子の千切りを少々入れて煮立たせ、取出した葉にかけて甘酢漬けにするという。

または、熱湯を通した葉を水に取って冷やし、5%の塩で一夜漬けにしたあと水を切り、辛子じょうゆで食するとよいそうだ。

実際に試したことはなかったのだが、この夏、ロッジ山旅の木曜山行にご一緒したTさんが「庭に植えたまつむしそうが辺り一面に広がった」と話されたので、改めて古い文庫本を引っぱり出し、そんなことを確かめてみた。

まつむしそうは、8月の旧盆の頃から咲きだすが、かなり強じんな草らしく、西上州の茂来山では11月下旬の雪の中で咲いているのを見たことがある。


ほたるぶくろ(蛍袋)も、夏から晩秋にかけて、長く咲きつづける花だ。

春の若い芽や葉は、ソバナやツリガネニンジンの若葉と同様に食べられる。花も酢を落した湯に通して水にさらし、甘酢に漬けたり、和えものやサラダの飾りとして添えるなどの使い方ができる。

雑木林の下や道路の法面、畠の縁など、割合どこにでも見られるが、ホタルブクロ、ヤマホタルブクロの種別があって、その区別は萼の違いによるという。

東北地方には白花のものも多いようだ。