かきどおし・きらんそう
 
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かきどおし(垣通し)は、かつては東京の住宅地の庭や路傍でも普通に見られた草だった。いまでは近くに畠などが少し残っているようなところまで行かないと、なかなか見つけられないかもしれない。

シソ科特有の断面が四角形の細い茎を四方八方に、地面を這うように伸ばし、細い柄のある1円硬貨ほどの葉を対生につける。

春には葉の付け根に小さいながら美しい赤味のある紫色の花を咲かせる。花が終わって夏になると茎の長さは1mにも及ぶほどに伸びて広がるので、垣通しの名がついたといわれている。

この草が食べられると知ったのは『食べる薬草事典』(村上光太郎/農文協)を読んでのことだった。

つい先日登った峰山の麓で群生しているを見つけたので、10cmほどの花つきの茎を一握り摘んで帰り、うすい衣のかき揚げにして食べてみた。シソ科に属するだけあって、かすかな香気が感じられた。同書によると、辛子バターを塗った食パンに生で散らしたサンドイッチもよいそうだ。

薬草としては、糖尿病、高血圧に効能があるという。

 
 
きらんそうは、その名に当てる漢字は判らないし意味も不明だが、別名じごくのかまのふた(地獄の竈の蓋)という。これは地獄の竈を覆ってしまうほどはびこるからと聞いた覚えがあるが定かではない。濃い緑のロゼット状の葉の間から、春になると、葉の付け根に紫の花を数段重なった状態に咲かせる。全体にちぢれた毛があるので、もこもこした感じに見えることがある。

路端や土手にも生えるが、岩がちの草地を好むらしい。

峰山でかきどおしを摘んだ日、近くの集落の石積みの斜面に2株ほどの花を見つけたが、所を得た美しさなので、見て楽しむだけにしておいた。

食用には、この葉を茹でて水にさらし、マヨネーズやゴマで和える。また花は茎・葉と共に姿揚げがよいとは、前記『食べる薬草事典』に載っていた。