やまどりぜんまい・とりあししょうま

やまどりぜんまい(山鳥薇)は、明るい伐採跡などに大群落を作ることがある。本来は水気の多い所を好む植物だと思うのだが、乾燥した尾根上の平地などにもよく見られる。

芽が伸び始める時期の赤茶色の綿毛は目立つので見つけやすい。1株に7、8本ぐらいはいっせいに伸びてくるので、胞子の着いていない栄養葉の芽のしっかり巻いた柔らかいのを選んで折り採る。

綿毛を取り除いて洗い、塩か重曹を少し入れた湯で茹でて、半日ほど晒す。何度か水を変えるか、あるいは流水につけておいてもよい。

水気をよく切って、そのままマヨネーズや辛子じょうゆで食べてもよいし、炒めものにしてもよい。

ずいぶん昔のことだが、日光の民宿で「これはやまどりぜんまいを煮たのです」と、その煮びたしがお膳に出されて、やまどりぜんまいが普通のぜんまいと同じように食べられることを知った。


とりあししょうま(鳥足升麻)は、3本に分かれた細い茎の先に、ちょっと下向きに赤っぽい新芽が開きかかっている姿が、まさに逆さにした鳥の足である。

山の雑木林の中の巻き道など、その横の斜面にぽつぽつと芽をだしているのに気付くことが多い。

湿り気のある所が好みらしい。雪の多い東北の低山では、丈も高く太いものが採れるが、東京周辺の山ではあまり大きくはならずに葉がひろがってしまう。

葉が開かない、鳥足の形がはっきりしている時期が食べごろで、これを過ぎると硬くなってしまう。

丈の低いものは姿のままの天ぷらがよいだろう。油に合うので炒めものもおいしい。茹でて冷水に取り、ごま和えなどにしても食べられる。