やまつつじ・りょうぶ

やまつつじ(山躑躅)は、関東周辺では2000メートルぐらいまでの山で、ミツバツツジやヤシオツツジよりも少し遅れて咲く。花は明るい赤で、たくさん咲いていると木全体が燃えあがっているように見える。

わたしとこの花の出会いは古く、小学校の理科の時間に校庭に植えられた木の前で、先生に「花を1輪ぬき取って筒になった花弁の根元をなめてごらん、蜜が甘いよ」と教えられた記憶がある。

だから、口に入れても大丈夫な花だとは知っていたが、花を食べることまでは考えなかった。

それを教えてくれたのが、『採って食べる山菜・木の実』(橋本郁三/信濃毎日新聞社)で、この花の料理法は以下のようだ。

やまつつじの花をたくさん摘んで、芯と萼を除き、水を加えて煮出す。その煮汁と引きあげた花をぎゅっと絞った汁を合わせて砂糖を加え煮詰めていくと濃度を増してフラワーソースになり、さらに煮詰めるとゼリーかジャムのようになる。そのソースをアイスクリーム作りに使ったり、ジャムをケーキやパンにぬって食べる。

また、芯と萼を取り除いて洗った数輪の花を、そのままサラダに飾ったり、ピラフやパスタの具として使ってもよい。炒めても鮮やかな色は変ることがないので、料理に彩を添えてくれる。


りょうぶ(令法)は、山地に多く生えている小高木だが、庭木として植えられることもよくある。

7、8月の花どきに山を歩くと、その香りが辺りにただよっていて気付く場合もしばしばだ。

サルスベリやヒメシャラによく似たなめらかな灰色系の幹で、新芽の色は赤味がかっているので見分けが付けやすい。

りょうぶ飯を作るのは、この新芽を洗って水を切り、塩もみして細かく刻み、炊きあがったご飯と一緒にむらす。盛りつける前に全体を混ぜ合わせればできあがりだ。

ほかには、茹でてマヨネーズで、または花がつをを乗せてお浸しに。天ぷらにするなら、夏でも枝先の若い葉を摘めば食べられるという。

なお、このりょうぶ飯については、吾妻小舎でもお会いしたことのある読売新聞の高橋博文さんの著書『天然ごはん』(五月書房)を参照させていただいた。