れんげそう・からすのえんどう
 
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れんげそう(蓮華草)は田圃の緑肥として育てられる草だったので、昔は春先ちょっと郊外へ出ればどこででも見ることができた。

わたしが子供のころには、この花を摘んで茎に裂け目を作りそこに次の花を通して順につなぎ、首飾りや冠を作って遊んだものだ。

田植えが機械化されて育ち始めの若い苗が使われるようになり、また、肥料も化学肥料に変わると、かつて田圃を彩っていたれんげそうの紅紫色の絨毯は見られなくなってしまった。

田圃の周辺などで野生化したれんげそうを見つけたら、料理してみよう。

花は塩と焼きミョウバンを少々入れた、沸騰しない程度の湯でさっと湯通しし、冷水で洗って、よく水気を切り、甘酢か三杯酢で味わうのがよいようだ。

 
 
からすのえんどう(烏野豌豆)は、育てばかなり大形の草で、市街地にもよく生え、だれにでも見つけやすい。種子は熟すと真っ黒になるので烏の名がついたという。

『身近な雑草のゆかいな生き方』(稲垣栄洋/三上修・草思社)では、「キューティー・ハニー(漫画の主人公)は空中元素固定装置を組込まれたアンドロイド(人造人間)で、大気中の元素からあらゆるものを作り出せる。その能力を使って瞬時に衣装をこしらえて変身する。お色気たっぷりな、そのシーンに心躍らせた男性は少なくないだろう」というような書きだしで、カラスノエンドウと根粒菌の相互依存の関係を説明している。

れんげそうも、からすのえんどうも豆科だから、その根にはコブのようなものがついていて、中には根粒菌がすんでいる。

根粒菌は大気の80%を占める窒素を取り込むことができるので、根粒菌をすみつかせた植物は、それを養分としてもらうことができ、一方、酸素に弱い根粒菌は植物の根に守られているのだそうだ。そして、昔の農家では、れんげそうなどを田畑に窒素を取り込む緑肥として利用していたのだ。

からすのえんどうによく似ていて、ずっと小形なのをスズメノエンドウ(雀野豌豆)という。また、その中間の大きさのものは烏のカと雀のスの間ということで、カスマグサ(かす間草)という。だだし、食用にするには、そんな区別の必要はないが、味はからすのえんどうが一番よいそうだ。

えんどうという豆であるにもかかわらず、この仲間は種子に毒があるので、食べるには実が成る前、花が咲きはじめるころまでの柔らかい芽先を摘むことだ。種子も若い莢の1つ2つを食べてもどうということはないから、それほど神経質になることはない。

よく茹でて水にさらし、和えもの、お浸し、炒めものにする。

つい先日、奥武蔵の小さな尾根続きを歩いて下りついた麓の空地一面にスズメノエンドウが生えていた。

一昨日、近所に買い物に出た帰り川沿いに建つマンションの脇を通ったら、そこのフェンスにからみつくからすのえんどうに花が咲き始めていた。