きんれんか・きじかくし

きんれんか(金蓮花)は、のうぜんはれん(凌霄葉蓮)ともいわれ、いずれも葉の形が蓮に似ていることと、花色による命名だ。園芸店などではナスタチュームと称ばれ、ペルー原産だそうだ。

花壇の縁取りに植えられたり、住宅のコンテナガーデンなどにもよく植えられている。鮮やかな赤、朱、黄色の花はよく目立つし、葉の形もあって、見たことがあるという人は多いと思う。でも、この花、葉、実、根まですべて食べられると知る人は少ないかもしれない。

花も葉もヒリッとした辛さがあり、摘んだときには豆のような匂いがする。

雑草ではないから勝手に摘むわけにはいかないが、自宅にあるならもちろん、知り合いの所とか、近所の公園などならば許しを得て、花の2〜3輪、葉の4〜5枚を戴いてくるとよい。

よく水洗いして、そのままサラダのあしらいなどによく、美しくておいしい香辛料だ。実と根は私は食べ方を知らないが、凌霄葉蓮の字を確かめようと開いた『広辞苑』には「原産地では根を食用」と書いてあった。


きじかくし(雉隠し)は、アスパラガスのそっくりさん。野菜として栽培されるアスパラガスの和名は、オランダキジカクシという。

栽培のアスパラガスに較べれば、この若い芽は細く弱々しくて、太さはせいぜい鉛筆ぐらい。1本ずつが、ポツンポツンと出ているので、めったに見つけられない。運よく何本か採ることができれば、さっと茹でて、ドレッシングかマヨネーズで味わうと、アスパラガスと同様においしい。

数年前に、臨幸峠へ行ったときに、ロッジ山旅の長沢さんが見つけてくれたことがあった。

つい先日、その長沢さんも一緒に北横岳に登ったおりに、たまたま、きじかくしが話題になった。「登山者のなかには、きじと聞くとおかしな連想をする人がいるから」と、あのきじかくし、ほんとうに隠すことができるのだろうかと、ひとしきり笑いがひろがった。

芽出しのときには、細く頼りなく見えるが、このきじかくし、大きく育つと1mぼどにも伸びて、細い枝を無数にひろげ、葉は退化して、平らになった小枝が葉のように見えるというが、緑の霞がひろがったようになる。よって、雉がかくれることも不可能ではなさそうだが、諺に「雉の隠れ」とか「雉の草隠れ」というのがあって、頭だけを草の中に隠して尾がはみ出していることをいうのだから、きじかくしは、全てを隠せなくても当然なのかもしれない。