つわぶき・のびる
 
 
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つわぶき(石蕗)は、多く海岸の崖などに生える常緑のキク科植物で、フキに似た葉の表面が濃緑でつやがあるので、つやぶき→つわぶきとなったのではないかと思う。庭などに観賞用に植えられたものには、葉に班や覆輪の入ったものもある。関東では、三浦半島や鎌倉の谷戸などにはまだ自生地があるようだ。

吾妻連峰の麓の微温湯温泉で知りあった橋博文さんから、『天然ごはん/転勤記者の台所』という著書をいただいた。そのなかに「ツワブキ」の1篇があって「植物図鑑の中には、キャラブキの材料は、ツワブキを使うのが正当とするものがある。……なぜ、ツワブキなのだろうか。キャラブキの名はフキをしょうゆで煮しめると伽羅色(濃い茶色)になるところに由来する。推測だが、ツワブキのほうがこの色に近くなるからではないか。2年前の3月、三浦半島を歩いていたら、農家の直売所にツワブキが売られていた。キャラブキにすると、濃い香りと弾力のある食感に驚いた。」と書いてある。

わたしは、家の庭にあるものをアチャラ漬にしてみたことがある。これもなかなかおいしい。因みにアチャラとはペルシャ語で、季節の野菜をきざんで唐辛子を利かせた甘酢に漬けたもので、ポルトガル人が伝えたとは、『大辞林』で知った。

わが家のアチャラ漬は、ゆでて水にさらしたつわぶきの葉柄の皮をむき、3、4cmに切って、砂糖、しょうゆ、酢に唐辛子を加え、ひと煮たちさせて冷した汁につける。

 
 
のびる(野蒜)は山道のかたわらや庭の隅など、見かけることの多い野草だ。

2月初旬の奥武蔵の丸山からの下り道でも日向に糸のような細い葉を伸ばしているのを見た。土の柔らかい所のは気をつけてそっと引き抜くことができるが、道端などのは土がかたく、道具がないと掘り採るのはむずかしい。

葉は中空で、切り口は三日月形をしている。玉っころのような球根は、1.5cmほどと小さい。葉はきざんで薬味に、生の根はとても辛いが、味噌をつけて酒肴に好む人も多い。

葉も球根もゆでて酢味噌和えがよいが、春先は貝類の味がよくなるので、アサリなどと一緒に和えればさらにおいしくなる。