やまぶどう・やまぼうし

やまぶどうは、栽培種のブドウより寒さに強いらしい。わたしは日光や浅間山の周辺などで、よく見たおぼえがある。ずいぶん昔のことだが、山で採ってきた、やまぶどうの実で、葡萄酒をつくろうとしたことがある。充分な知識もないままに、やまぶどうの実と砂糖をびんに入れ、発酵させようとした。発酵すれば当然空気の圧力があがるので、ガス抜きの口をあけておかなければいけないのだが、それに気づかず、びんに栓をしたまま出かけてしまい、帰って来て驚いた。発酵したやまぶどうが栓を吹き飛ばして噴出し、すべて壁と天井にはりついてしまっているのだ。

拭いたぐらいでは、きれいにならず、サンドペーパーでこすって落としたが、一応、見られる状態にもどすのに苦労した。

今年の春、八風山から神津牧場の上を通って、内山峠まで歩いたおり、まだ、ひろがらない大きな新芽をつけたやまぶどうの太いつるを幾つも見た。つぎは秋に歩いて、実を採ることができればとねがっている。


やまぼうしは、ハナミズキに近い仲間で、葉や花の姿はよく似ているが、その実は、ハナミズキとはあまり似たところがない。球形で、長い柄があるところは、大ぶりのサクランボ、うすめの赤い色と、表皮の感じは、寝ぼけたイチゴみたいだと思うのは、わたしだけだろうか。

昨秋、榛名山の杖ノ神峠から杏(すもも)ヶ岳へ歩いたとき、尾根のあちこちで、このやまぼうしの実が落ちているのを見た。

うす甘い味で、ひとつ、ふたつ口に入れたことはあるが、それほど、たくさん落ちている所へ行ったことがなかったし、拾い集めたこともなかった。

最近、量があれば、ジャムにもなるし、少量でも煮て料理のソースとしても使えると聞いた。一度、その味を試してみたいと思っている。