あけび・くさぼけ

あけびは、春に新芽の茎を珍重するのが新潟県の人たちだと、前に書いたことがあるが、秋の実を食材にするのは、主に山形県の人々だ。

実といっても、甘い中身ではなく苦い皮を食べるのだが、なかなかおいしい料理になる。

皮をゆでて水にさらしたのち、水気を取って、甘味の効いた肉味噌を詰めて、凧糸などで形を整えて油で揚げると、気の利いた一品ができあがる。手軽にするならば、ゆでた皮をきざんでいため、甘味噌をからませてもよい。また、ゆでて水にさらしたものを干しあげて保存すれば、いつでも水で戻して使うことができる。


くさぼけ(しどみ)も、早春の花どきは、その明るい朱色が目だつので、簡単に見つかるが、初秋に実を捜すのはちょっとむずかしいかもしれない。花を見た覚えのある辺りで、足もとの草の中を探ってみると、プラムほどの実が1、2個は見つかるのではないだろうか。

実が少し黄ばんできたころが採りどきで、数個もあれば焼酎などに漬けて果実酒にすることができる。1個だけならば、薄くスライスして紅茶に浮かせると、レモンティーと同じように味わえる。

ボケは庭木や鉢物として植えられた栽培物にも実がなるので、そちらも同じように使うことができる。

わたしが最初に覚えたのは、祖母の庭になった実を浮かしたボケティーの味だった。