もみじがさ・ふき
 
 

秋田から山菜をたくさん送ってきたからと、お裾分けを頂いたなかに、もみじがさがあった。関東の山にも、見かけなくはないが、やはり東北の本場ものは立派だ。

早速、ゆでてお浸しにしたら、うどとふきを掛算したようなよい香りで、柔らかくおいしかった。

その10日ほどあとに、吾妻線沿線の小野子山から十二ヶ岳へと歩いた。お天気は予報ほどよくならず、一時はいつ降りだすかと心配な雲行きになったが、新緑とやまつつじの赤い花が美しかった。十数年前に登ったときには、通らなかったコースを歩いてみると、雰囲気のよい道で、そこで、もみじがさが目についた。

なんとか、まだ食べられる頃合いで、いただいた秋田のよりは細いけれど、つぎの日の昼の一皿にすることができた。

 
 
ふきのとうは、残雪が消える頃になると終りになってしまうが、ふきの葉と茎は、初夏のころまで楽しむことができる。

ふきも北方系らしく、山形の翁山や杢蔵山のあたり、広々と高原状の尾根の上全体が、ふきの葉でおおわれて、風にひるがえっていた情景が、いまも目にうかぶ。

傘の代りになりそうなほど大きくなるものもあるが、山で採ってくるのは茎の長さ30〜40センチ、葉の差渡し20〜30センチぐらいまでが扱いやすい。大きめのものは八百屋で買うものと同様、茎を塩で板ずりして、ゆで、水にさらして皮をむけば、色々の料理に使えるが、わたしは、葉のほろ苦さが好きなので、あまり大きくないものを、茎も葉も一緒にゆでて、水につけ、むける所は皮をむいて、葉は放射状に破って細かくきざむ。それを、きつくしぼって水気を切り、酒としょうゆで煮る。水分がなくなるまで煮ると、ある程度日もちする。好みで唐辛子を入れてもよし、昆布、椎茸などを一緒に煮て、吹き寄せとしゃれてもいい。