
望月達夫さんの話では、この山には中西章さん一派に加わって、前夜は麓の石尊神社の境内に幕営、翌朝早くにたって往復してきたという。その神社がどこにあるかは2.5万図では見当たらないのだが、おそらくは鳥原集落の標高は900㍍少々のところにあるではなかろうか。となると、この雨乞岳は2036.8㍍の高さがあるのだから、1000㍍余の標高差の上下する決して楽ではない登山になること間違いない。望月さんが、いったいお幾つの時に登ったか、今となっては確かめるすべのないのが残念だ。
さて、以上が前置きで、私の雨乞岳登山は17年前のこと。今からすれば「まぁ、お若い」という歳頃であり、しかも山村正光さんの小型ジープで林道を1600㍍の高さまで乗せてもらったのだから、望月さんとは比べ物にならない楽な登山ということになる。しかし、山村さんのジムニイは素通し同然の幌一枚。それが決してお上手とはお世辞にもいえない運転で、片側断崖絶壁のガードレールもない危なっかしい林道を走るのだから、肝を冷やしっぱなしだった。何年か前の木暮祭の帰り、免許を昨日取ったばかりという山村さんの車に乗せられ、幾らも走らないうちに側溝へ落ちたことがあるだけに、楽はさせてもらったものの怖い怖いだった。
それに帰りも甲府駅まで送ってくれたのはありがたいが、皆さん、途中のワイナリーで打上げをしてからとなれば、街中だって、そう安心して乗っていられるものではなかった。
上 山村さんのグループは、例年この時期に雨乞岳でゴミ拾いをするという。でも、こんな山に登る登山者はめったにいないのではないかと聞くと、ハンターが散らかしていくゴミがけっこうあるのだそうだ。なお、この写真で真ん中辺りの赤シャツが山村さん、その1人おいて右が成澤正通さん。成澤さんはとりわけ山村さんと仲よく、私も紹介してもらって親しくなったが、わりに若くして2004年に亡くなってしまった(成沢さんは山村さんよりも数年若かったと思う)。モデルシップを作っている、スイングジャズがお好きだなどと聞いて、話が合う人だった。このあと、長沢さんと山の帰りに白洲の成澤さんの家に寄り、近くの喫茶店でコーヒーをご馳走してもらったこともあった。亡くなって、もう10年もたつのかと思う。
中 雨乞岳山頂からは甲斐駒ヶ岳が大きく見えた。
下 目を転じれば八ヶ岳が、その左端には蓼科山も見えていた。
(2014.5)
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