
柳沢峠、一ノ瀬近辺 |
1964(昭和39)年7月4〜6日 |
この頃、塩山駅から柳沢峠を越えて落合へいくバスは日に3本、短い間だが落合より先の藤尾橋折返しの時期もあった。
また、これはそれよりもさらに短い間だが、青梅線終点の奥多摩駅まで走る急行バスもあった。このバス便は笠取山や鶏冠山へいくときには便利このうえなく、おおいに利用したものである。もし、これがなかったら、私はそうは一ノ瀬や笠取山には通わなかったろう。
しかし、いつも気の毒なくらいがらがらで、私たち2人だけしか乗っていないときも多かった。と、これは昔話で、いまはバスはなく、マイカーかタクシーに頼るしかないのが不便極まりない。
なお、この3枚の写真は、笠取小屋に遊びにいったときの行き帰りに写したものである。
上 犬切峠のくだりから見る一ノ瀬の集落。今、塩山駅からタクシーに乗れば「毒食わば皿まで」と犬切峠を越してーノ瀬なりスズクボなりまでいってしまうが、バスの頃は落合から歩いて、まず犬切峠を越えなくてはならなかった。しかし、この峠からのくだりでは右手上方には飛竜山、正面から左方向にかけては奥秩父主脈が長く連なるのが見えて楽しかった。また、目の下には一ノ瀬の集落がいかにも奥深い山里の佇まいで、右から2軒目が田辺さんの家だ。
中 一ノ瀬から上には二ノ瀬、三ノ瀬の集落がある。これは三ノ瀬から二ノ瀬へくだる道。このような藁葺きの家もいまでは少なくなった。
下 かつての柳沢峠。塩山方面からあがってきたバスは、ここでしばらくの休憩をすることになっていた。季節によっては「タランボウを採ってくるから」と姿を消す運転手氏もいて、至極のどかなものだった。
(2012.10)
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