北岳、塩見岳、三伏峠
 1972(昭和47)年8月24〜28日

ちょうど40年前の8月下旬、テント持ちで北岳から三伏峠まで歩いた。広可原から始まって、白根お池(幕)、北岳、間ノ岳、三峰岳、熊ノ平(幕)、塩見岳、塩見小屋脇(幕)、三伏峠、峠下の河原(幕)、鹿塩までの4泊5日間。

同行はロッジ山旅のリピーターでもある尾崎光子嬢で、尾崎さんとは奥多摩山岳会時代からの山友達である。この山歩きでは青森の一戸義孝さんと知り合った。三峰岳辺りから前後して歩き、話しかけるとすごい東北弁で「ワタス、アオモリサカラキマシタ」。すっかり仲良くなって、その後八甲田や吾妻を一緒に歩くようになった。

熊ノ平から塩見岳を越す日が後半雨になり、行き会った単独の高校生が泣きべそで歩いていたのが忘れられない。小さな塩見小屋は他の登山者で一杯、こちらはその脇にテントを張ったが、フライがないので雨がしみだし大変だった。だが、その翌日は快晴となり、本谷山まで引き返して大展望を満喫した。



上 北岳肩ノ小屋。私が最初に北岳に登った1957年当時は、まだ肩ノ小屋はなかった。昔の北岳小屋はカールをいい加減くだったところにあり、半分石積みに埋もれた作りだった。雨が降ると石積みのままの壁から雨水が吹きだし、新聞紙を詰め込んで防戦に努めた。

中 塩見小屋。この年から番人が入ると聞いていたが、無人だし、なんともお粗末な小屋だった。

下 三伏峠の小屋。もうシーズンが終わったのか、ここも無人だった。私たちは峠をくだった河原にテントを張った。仔ザルが木の枝に腰掛けて足をブランブランやりながら、こちらを興味しんしんの顔つきで見ていた。 

(2012.10)

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