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 さあ新緑の甲州の山々へ
     
私は八ヶ岳南麓で山宿を営んでいるが、毎年ゴールデンウィークの時期になると、この連休があと半月後なら良かったのにと思う。
 
というのも、標高1000メートルを越えるわが宿のあたりでは5月初めではまだ新緑には少し早いからだ。

木々が葉を落とした殺風景な冬の長い八ヶ岳周辺の寒冷地では、5月半ばから6月半ばの新芽が出揃う頃がもっとも瑞々しく樹木の生命が感じられる。その中を歩くと、自分の身体にも彼らの生気が乗り移って力がみなぎるように感じられる。その頃が大型連休なら、多くの人に萌え出づる春をもっと味わってもらえるのにと思うのである。

甲州の1000メートルを越える山山は落葉樹の雑木林が多く、新緑の美しさは格別である。いささか多過ぎるカラマツの植林地も新緑と黄葉の時季ばかりは整然とした美に思わず見とれてしまう。

新緑は徐々に山を登るから、楽しめる期間が長いのがうれしい。6月、麓ではもう濃い緑でも、登るにつれ季節を遡り、2000メートル近い稜線ではダケカンバがやっと芽吹いたばかりだ。

新緑を追いかけて、週ごとに標高を上げて山歩きをするのが、この時季の私の楽しみである。

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