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『東海・北陸の200秀山』(高速道路からのアクセス)
             日本山岳会東海支部 編著
 上 東海・北陸編213ページ 1714円 B5判
 下 東海・信州編233ページ 1714円 B5判
     2009年10月20日 中日新聞社刊 


東海支部の労作。山のガイドブックとしてはかなりの大判で、しかも上下巻である。

たまたま私は名古屋の書店で上下巻が並んで平積みになっているのを見た。こうすると表紙の写真がつながって、鈴鹿山地を代表する御在所岳と鎌ヶ岳が夕空にシルエットで並ぶ。本の大きさとあいまって、なかなか目立つ演出となっていた。

この本の読者の多くは名古屋とその周辺の住人だろうが、そこから遠く離れた北陸の山にまで紹介が及ぶのは書名にあるとおり。これは東海北陸自動車道の開通でアプローチしやすくなったためで、本の副題にも「高速道路からのアクセス」とある。

私も一時期を過ごした経験上、名古屋は大都会にしては渋滞に悩まされることが少ないように思う。また中部山岳へ出かけるのにまことに都合のいい立地である。今や地方のバス路線が衰退していることもあって、放射状に整備された高速道路を利用してのマイカー登山が主流になるのは当然だろう。もっとも、これは全国的な傾向でもある。

マイカーは山頂を近くしたが、それは鉄道やバスで時間短縮をはかるのと質的に変わるものではない。

登山という遊びは文明の落とし子で、不便を楽しむために便利を求めるという矛盾をはらんでいる。そして便利が不便に侵攻してきたのがこれまでの登山の歴史だった。現代においてはその便利をどこまで許すかが各人の登山観を表すことにもなるだろう。

ただ、これまでの「現代」は常にそれらの便利の頂点であったが、これからもそうなのか、もしそうなら、便利がついには登山から何を奪い去るのかは誰にもわからない。

ガイドブックはインターネットの便利に押されて旗色が悪いが、これも「現代」というものだろう。だが、例えばこの本のように二百もの山の情報を手中にして、ぱらぱらとページをめくりながら概観することは本にしかできない。本という形態に愛着のある私は、支部員の手弁当で出来上がったようなこのガイドブックが多く長く読者の手に渡るよう期待している。そのためにも、改訂の機会には、駐車場情報と地図をさらに充実させることをお願いしたいと思う。

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