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         信玄棒 2015.11.12



太刀の抜き岩から東を望むと、そこに立てば実に気分の良さそうなテラスが見える。尖がった岩が一本立っている。どうやったらそこに行けるかを随分前から地図を見ながら考えていたのだが、2014年の暮れ、太刀の抜き岩から千田集落に下ったときヒントを得た。

千田集落から見ると、尖り岩が集落の上部で天を指している。それまで御嶽外道の通る稜線から下ってそこまで行くことを考えていたのだったが、あれだけ目立つ岩なら、下からの登路があるに違いない。

鉄は熱いうちにというわけで、その翌日、尖り岩を目指すことにした。前日には下ってきた径を登る。地籍調査と書かれたピンクテープが御嶽外道方面から点々と続いているのを前日見ていたが、登りだしてすぐ、古い踏跡が右手に分かれて、そこにも同じテープが続いている。

これが怪しいとにらんで登っていくが、途中でテープはなくなってしまった。そこからは山勘をきかせて花崗岩の間を縫って登っていった。山勘が特にさえていたらしく、まったくロスすることもなく一直線に尖り岩に着いてしまった。

思ったとおりの、花崗岩の広いテラスである。テラスの先端にある尖り岩は高さ4〜5メートルといったところだろうか、根本に測量ポールが立っていて、まわりの白砂には足跡が見られるので最近も訪れた人があるらしい。テラスの一角にはケルンも積まれていた。

尖り岩にはきっと千田での呼称があるのだろう。それがわかったのは、暮れも押しせまって性懲りもなくまた出かけたときで、山中でたまたま出逢った人に千田では信玄棒と呼んでいると教えてもらったのである。その後、実際に千田の住人にもそう聞いた。

多少急峻なところもあるものの、ごく短時間で登れ、しかもめったに人の訪れのないところだから、その翌年の木曜山行でさっそく計画に入れて、まず1月におとみ山と登り、次はこの秋の山行となったのだった。なんとこの日は12人もの大勢だったとは驚き。そのうちの数人は初めての参加で、しかもそれっきりとなっているから、こういうマニアックな山がお気に召さなかったのだろうか。

それにしてもこの岩の写真を見ると、現代ならきっと「イルカ岩」とでも名付けられるだろうね。

(2022.1) 

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