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       ホッチ峠尾根下降 2015.1.20



茅ヶ岳は南側に何本もの長い尾根を持っていて、これらが甲府盆地から見えるあの優美な裾をつくっている。私はこういった傾斜がゆるくて長く延びた尾根をぶらぶら歩くのが好きだから、それらをひとつひとつ歩いてきた。ちなみに一般的な登山道があるのは饅頭峠と千本桜からそれぞれ頂上にかけて延びる稜線だけである。

最後に残った大物が、頂上から大明神岳と大明神山を経てホッチ峠を跨いだのち、さらに南に延び、中央線塩崎駅あたりで終わっている尾根で、とりあえずはホッチ峠尾根とでも呼んでおこう。頂上からホッチ峠まではすでに歩いているが、それから南を歩いたことがなかった。むろんこれは塩崎駅のずっと北ですでに人里に入っているから、山歩きができるのは、甲斐市ソーラー発電所までである。それにしてもこの尾根の両側にはじつに4つのゴルフ場があるのだから、右に左に山のグリーンだけではないグリーンを見て歩くことになる。

登るにしろ下るにしろ、車が2台必要なわけだが、たわらさんが協力してくれることになった。こういった尾根は登るほうがルートファインディングは簡単で膝にもやさしいのだが、このくらいの傾斜なら下るのも悪くない。およそ標高差700mを下ることにした。

ひたすら太陽に向かって歩く、とにかく明るい尾根だった。藪らしい藪もない。古くからの仕事道や車道が錯綜するからややこしいところもあって、一度予定外の尾根に引き込まれたがすぐに修正した。ちょっとした突起にはすべてといっていいほど巻径があるのは古い径らしい。そのおかげでほぼ100パーセント下りっぱなしであった。ゴルフ場がらみの車道を2度歩くことになるのは興をそぐが、そのゴルフ場のおかげで南アルプスの眺めが開けるところもある。

茅ヶ岳南麓は日本一日照時間が長いことで有名である。だから東北震災後の再生エネルギー利用ブームですっかり目を付けられてしまった。このときも最後ですでに稼働中のソーラー発電所に出たが、その上部の地続きに数倍の規模の発電所を建設することになっていて、トップの写真で原野のようなところを歩いているのがその予定地だった。

3年後、木曜山行で同じコースを歩いてこの場所に出たときには、整地もされてあとはパネルが敷設されるばかりになっていた。さらにそれから3年、今では山梨県一と言われる規模のメガソーラー発電所がほぼ出来上がっていて、まるで風景を変えてしまっている。

(2021.1) 
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