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         三国峠〜十文字峠 2009.11.5



日本の都府県でもっともたくさんの他の都府県と接しているのが長野県で、8県と接している。ではそれらを全部答えなさいという設問があった場合、最後まで出てこないのが埼玉県である。三国山から甲武信岳までの稜線がその武信県境で、接している8県の中ではもっとも距離も短い。

三国峠から十文字峠間の稜線はマイカーだと回収が厄介なところで後回しになっていたが、家内に三国峠まで送ってもらえることになって実現した。

2台で出かけ、1台を毛木平へ置き、三国峠まで送ってもらった。まだ明けやらぬ三国峠への車道を登るにしたがって季節が進み、峠ではもう初冬といってよかった。その一昨日に降った雪が道の端に凍っていた。

峠の武州側に立つと、目の前の両神山の怪異なシルエットが次第に立体的になり始めていた。

標高差はさほどないとはいうものの、十文字峠まではかなりの距離がある。越えていかなければならないコブは十指では足りない。

梓白岩のすぐ南の岩峰には朽ちかけたはしごが残っていて、おそらく展望台のような意味があったのだろうと思い、枝をつかんで這い上がってみたら、この稜線最高の展望を得ることができた。それがトップの写真である。

まだ落葉松に色が残っていて、千曲川源流の村がこの木に席巻されているのがよくわかる。これはこれで見事ともいえるが、落葉松が植えられる前の秋の風景はどうだったのだろう。山の形は変わらないが、木暮理太郎や田部重治の見た千曲川源流には数え切れないくらいとりどりの色彩があったに違いない。

十文字山の登りにかかると、あたりは針葉樹の深い森になった。あたりが苔で覆われた広場があったので昼休みとした。最後の写真がその場所である。

ごくゆっくり歩いたせいで毛木平に下りついたときには出発してから9時間が過ぎていた。終始ひとりの登山者にも会わなかった。


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