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          十枚山 2007.5.24



山梨県側からは登山口までたどり着くのが一苦労の山で、静岡県側からの入山者が圧倒的に多いのではと思われる。山梨百名山に入っているというのでリクエストがあったのではなかったかと覚えているのだが、2度計画しながら雨でお流れになって、3度目の正直がこの日だった。

標高は高くともちっとも山の中にいる気がしないのが我々の住む八ヶ岳裾野の特徴で、県内どこへ行ってもとんでもない山国に分け入る感じがする。

ことにその印象が強いのが富士川下流域の山々である。中でも甲駿国境の山々ともなればなおさらで、林道剣抜大洞線の悪路を、標高700mの十枚山登山口に車で達する頃には、とんでもない奥山に来た思いがする。

杉檜の植林地の尾根は実に単調だが、等高線の混んでいる割りには径のつけ方がうまく、地面もやわらかく、あまり疲れないままに標高をかせぐ。

やがて北側が新緑の自然林となり、その後南側も自然林となる。白花のイワカガミの群落を見るあたりから尾根を離れ、十枚峠へと山腹を登ってゆく。

スズタケが刈り込まれた明るい十枚峠から、いたって明るい稜線を一投足でこれまた明るい十枚山の頂上である。あいにくはかばかしい展望は得られなかったが、昼食をとるうちには、静岡側の谷筋も見えるようになった。

山の世界も狭いから面白い出会いがあるもの。我々のあとに登ってきた単独行の女性、これがなんと旧知の、南アルプス芦安山岳館館長塩沢久仙氏の夫人だった。

往路を順調に下ったあとは、せっかくの機会だから名にしおう山岳林道を富沢方面に進み、奥山温泉を目指すことになった。かつての開拓地、月夜の段をかすめて落石だらけの林道を約1時間、こんな道では乗っている人たちも肝を冷やしたことだろう。

その名に恥じない奥山温泉、お湯も雰囲気もいい。しかし帰り道は長かった。

(2015.2)  木曜山行報告へ

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