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           三頭山 2007.2.22



これも上京にはなるのであろう。国境のトンネルを抜けると、鄙びた山村風景が拡がった。沢まで一気に下ると、あるいは斜面にへばりつくように、あるいは沢側に半分はみだして家々が立っている。「東京だよ、おっかさん」。ひとくちに東京といっても広いものである。

しかし山梨も、信州境からわざわざ東京の山へ登りにいくなんぞは、相当な物好きのすることだと思われる。

ともあれ、都民の森側からの三頭山は潤沢な予算がある首都ならばこその整備で、山梨県側から登ったことはないが、これが同じ山とは思えないに違いない。

春秋の休日には駐車場の交通整理が大変なほどの混みようだというが、がらがらのこの日も警備員がちゃんといた。その警備員がこちらをじろじろと見ている。駐車の仕方に何か問題でもと思っていたら、向こうから話しかけてきた。「山旅さん?」。

そういえばどこかでお見かけしたような。はっと気づいた。警備員の格好だからわからなかったが、旧知の大工さんだったのである。私のロッジの南に女優桃井かおりさんの別荘があるが、その改修工事のときの棟梁だったのである。工事中、ロッジに泊まり込みで働いていたのだった。棟梁も車に屋号が入っていたので気づいたのだという。

そういえば数馬から来ていると聞いていた。大工仕事が暇なのでここで警備員をしているという。まったく世間も狭いものであった。

公園を行くがごとくの山道だが樹林の雰囲気はよい。しかし頂上は霜融けの泥んこで、これは登山者が多いことも一因であろう。

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