南八ヶ岳お中道 (八ヶ岳横断歩道 詳細地図 観音平〜天女山)



八ヶ岳横断歩道が、もっぱら美し森から天女山の間に通じる歩道のことを指すのは、天女山から観音平までの区間が開通してからも変わらない。つまりは歩く人数が違いすぎる。観光スポットとしても有名な美し森から、森を抜け沢を渡り、大展望の牧場を横切り、と前者はわかりやすい魅力に満ちている。行程も長くないし、マイカーの回収もバスでできる。

それに較べて後者は、展望にはさほど恵まれず、しかも遊歩道とはいえないような高低差が途中にあるし、そもそも全部を歩きとおすにはかなりの時間を要する。マイカーを使うにしろ、回収にはタクシーを使うしかない不便さもある。

八ヶ岳高原ラインはどういうわけか絶望的に車を置く場所が少ない。したがって、全コースを歩きとおさない限り、あらかじめ複数の車を配置してという登り方が難しい。そのかわり自転車道は完備しているので、工夫の余地はある。

観音平天女山間が開通したのは平成14年(もっとも、戦前のガイドブックに「八ヶ岳お中道」として紹介されているコースは今の道とかなり重複するので、あらたにすべて開削したというわけではないと思う)だというからそろそろ10年になろうとしているが、相変わらず歩く人は少ないようだ。昨今では八ヶ岳一周コースに組み入れられてトレイルランニングの人が走ったりもするらしいが、なるほどそんな用途にはちょうどよいかもしれない。しかし歩道はやはり歩いてこそである。

私もつまみ食いをしただけで、歩いていないところがほとんどだった。そこで気になる尾根の調査を兼ねて歩きに行ったのをきっかけに、ならばついでにすべて歩いてみて詳細な地図をつくってみることにした。

開通した当時、「南八ヶ岳トレッキングマップ」というパンフレットができ、観光案内所で入手できたものだが、見かけなくなって久しい。それがあれば全体像が把握できるのだが、ないというなら自分でつくるしかない。現在、電子国土基本図にこのコースが破線で入っているが、地図を見慣れた人ならわかるにしても、それだけでは自分がどこにいるのやらわからない人がほとんどであろう。幸いに番号付きの道標が要所に立っているから、地図上にその番号だけでも入れてやれば自分の位置がわかる。

役所に行って図面を見れば一目瞭然なのだろうが、それでは面白くないということもあるし、これだけ金をかけて道を造り、しかも見たところ毎年刈り払いもしているようなのに、パンフレットの増刷もせず、市のサイトには実におざなりな地図しか出していないという予算の使い方に疑問を持っているから、役所では聞きたくないというのもある。

道のない藪山を詳しく解説するのは野暮というものだが、これだけきちんと整備された道に気のきいた地図がないのは画竜点睛を欠く。何回かの踏査で地図が完成したので、公開して歩く人の便宜をはかることにした。

八ヶ岳横断歩道というのも芸のない名前なので、古いガイドブックに敬意を表して「南八ヶ岳お中道」と名づけておいた。もっともこれは勝手に言っているだけで、そうなればいいと思っているわけではない。

ちょっとないくらい美しい道なのに歩く人は少ない。地図が活用されて、ただ頂上だけではない八ヶ岳の魅力を味わってもらえればうれしい。




地図のPDFファイルはこちら → otyudo.pdf




おおよそのコースタイム
 (逆コースの時間とは若干違うだろうが大差はない)

観音平(60分)F三味線滝(60分)J大日向尾根(50分)N御神楽尾根(50分)P材木尾根(40分)S東材木尾根(30分)天女山駐車場

注意点(詳細地図参照・地図はクリックて拡大)

*白丸地点には道標があるが、黒丸の地点には道標はないので、そちら側から入山するには注意が必要。もっとも、わかりにくい入口ではない。また赤丸地点には道標があるが、東西に示す方向は廃道に近い。

*高川右岸の車道は途中まではコンクリート舗装で乗用車でも入れるが、未舗装になってからはほぼ通行不能。車で入ったとしても置き場はほとんどない。また、入口で通行止になっているときもある。

*鐘掛松付近にも数台は駐車可能。


ロゴをクリックでトップページへ戻る