茶刈山新年会(若神子

毎年、新年会の会場選びには頭を悩ませる。最近ではなるたけ歩かずにすむことが第一条件になって、しかも人けがあるようなところはダメなのだからいよいよむずかしい。

これまで新年会をした会場で良くなかったところはまったくないのだから、同じ場所でも構わないのだが、新年会だから新しい会場でという気持ちもある。そこで地形図を眺め、6年前に見つけてあった会場を思い出した。見つけただけでそれきりになっていたのである。

6年前にここはいいと思ったとしても、その後どう変わったかわからない。意外なほど樹木は成長するから、陽ざしがなくなっていては困る。それで前日に下調べをして今の状態を確認した。

場所は茶刈山南麓である。茶刈山といっても知る人はほとんどいないと思うから、知らないままにしておこう。「チャッカリヤマ」とはなかなかいい名前である。チャッカリそこを使わせてもらおうというわけだ。

おとみ山を迎えに行って、近所の鎧堂観音に参拝したのち現地へ向かう。6年前にはなんら問題なく歩けた道には、おびただしい倒木が行く手をさえぎって、もはや廃道である。それらを乗り越えたり迂回したりして茶刈山に登頂後、やはり倒木を乗り越えて下って会場に到着した。何段かになった平地があって、かつては桑畑だったのかもしれない。少々くぼ地になっているから風もさえぎられ、南の空が開けているので陽ざしもある。

このご時世だから換気だけには気を付けて、壁と天井のない会場である。総勢6人で2時間気炎を上げた。

茅ヶ岳の尾根を饅頭峠へ(茅ヶ岳)

新年会は番外として、今年最初の木曜山行であった。おそろしく好天続きだが、それだけに冷え込みは厳しい。こんなときには山の南斜面を陽光を浴びながらぶらぶらと歩くに限るのである。

幸いにも甲府盆地の北半分はそんな場所に事欠かない。中でも茅ヶ岳の南斜面の尾根筋は好適というべきで、これまでに何度も歩いてきた。尾根筋といっても傾斜がゆるいせいで林道が通じていることが多いが、滅多に車が通ることもなく、並行して人の径が残っていることも多い。

もっとも長大なのは、北杜市と韮崎市の市境尾根で、この尾根は饅頭峠南西の馬止三角点から南へ屈曲して延び、塩川に突き当たって終わる。これは、かつて木曜山行で末端まで下ったことがある(参考リンク)。今回は、馬止三角点からそのまま西南西へ延びる尾根を末端近くから登ることにした。目的のピークは饅頭峠北の三角点(点名饅頭峠)とした。

この尾根にも地形図にはない林道が通じている。それと並行して古い径もあるにはあるが、かなり倒木に邪魔される。両方を適当にたどり、途中の三角点探しをしたりして歩いた。

標高差500mを登るともなく登って、ちょうど饅頭峠山で昼となった。南側がソーラーパネル畑となって、かつての樹林の良さはまるでなくなったが、展望はよくなった。視界の下半分を見ないようにして、御坂山地から富士川下流の山々までの大展望をほしいままに長く休んだ。
旧羅漢寺と昇仙峡(甲府北部)

10年ほど前から数年間、羅漢寺山界隈を集中的に歩いたことがあって、その結果、現在の『山梨県の山』にガイド文を新たに加えることになった。その際、この顕著な山域に一般的な名前がなかったので「羅漢寺山塊」と名付けておいた。

そこで紹介したのは、荒川沿いに新道が拓かれるまでは金桜神社への参拝路の本道だった、主稜線に通じる御嶽外道を歩くもので、これは、ロープウエイの通じるパノラマ台付近をのぞけば静かに歩けるのが何よりである。

拓かれた新道というのがすなわち現代の昇仙峡の道で、今さらわざわざ山のガイドブックに載せるまでもない観光地である。しかし、冬の時季には観光客も減って、さらにはこのご時世ではなおさらだろう、昇仙峡の核心部、仙娥滝附近は格別の迫力があるから、たまには歩いてみるのもいいだろうと立てたのが昨日の木曜山行の計画であった。

ボルダー以外に訪れる人がほとんどいない羅漢寺沢を遡って、旧羅漢寺跡を訪ねたのち外道に出、パノラマ台で観光客になってロープウエイを使って下り、昇仙峡を見学するという、一粒で3度くらいおいしい計画である。

旧羅漢寺へは目ざわりなほどテープが木に巻いてあって、これは前回にはなかったことで、最近では訪れる人も増えているのだろうか。有難迷惑の典型である。もっとも、目印があったとしても気軽に入れる場所でもない。

よくぞこんな場所に建てたものだという旧羅漢寺跡あたりから直接弥三郎岳方面へと登れば、また面白い遺構があるようだが、我々は無理をせずに外道へ出た。パノラマ台が近くなると、そろそろ観光客の声が聞こえてくるのだが、まったくそれもなく、やはりこの季節ならではだなと思った。

パノラマ台へ着いたら誰一人いなくて、これはいい機会だと、普段なら絶対に休まないであろう駅前のベンチで富士を眺めながら馬鹿話をしているうち、どうもこれはおかしいのではないかと思い始めた。つまり、ロープウエイが動いている気配がまったくないのである。

営業所に電話すると、冬の点検で休業中ですと。人がいないわけである。「ガーン」これで下りを楽しようという野望がついえた。しかし、初めて歩く下山道は、ほぼ檜の植林地で暗いが、傾斜と地面の状態がとてもよく、足任せに下ることができた。それと、山腹にある無数の石垣にかつての生活が偲ばれ、これはなかなかのケガの功名だと思った。

掉尾を飾る昇仙峡核心部は、さすがに名勝となるだけのことはある。河原の大岩に積もった雪とあいまって水墨画そのものの世界である。秋ならば渋滞するかもしれない歩道で行き交った人も数人程度で、思う存分冬の峡谷を堪能した。

大見山南大塩・諏訪)

大見山に初めて登ったのは東北震災の1週間後だったから印象が強い(参考リンク)。その後蓼ノ海からは何度となく登ったが、登山というにははばかられる。そこで2018年の春に諏訪大社下社から登って(参考リンク)、これで大見山もきちんと登ったという気がした。

水曜日に松本に所用で出かけたらものすごい冬晴れで、北アルプスの北端まで見えた。翌日もこの天気が続くなら信州方面へ出かけるのもいいなと思った。冬はもっぱら甲府盆地方面へ出かけることが多いが、たまには方向を変えたい。

予報は木曜日も日本海側に至るまで晴れだという。とはいえ松本平まで出かけるのはいささか遠い。近場にあって、軽い行程で展望抜群な山というので思いついたのが大見山だった。10年ぶりに南から登ってみよう。

10年前にはなかった道標もできていて、今では諏訪湖から登る人も増えたのだろう。上諏訪駅から歩けばそこそこ手ごたえのあるコースである。我々はその4分の1、土の道を歩く部分をつまみ食いしたことになる。

風もなく暖かいのに展望がはっきりしているという最高の日和だった。新しく立てられている道標は林道を迂回するようになっているが、それは帰りがけにして、尾根筋を直登する。防火帯の急登だから落石には注意がいる。

何度となく休みながらでも1時間半もかからずに頂上展望台へ着いたのだから楽なコースではある。諏訪湖畔からも目立つ、驚くばかり立派な展望台からは驚くばかりの展望があった。長く滞在したのは言うまでもない。

帰りは山の北側をたどる迂回コースをとったが、日陰の道は真っ白で、この冬初めての雪道歩きだった。

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