車山(霧ヶ峰

先週のカボッチョのとき、参加の皆さんと、来週の山はどこにしようかと相談した。その翌日には新山旅号を引き取りに行く予定になっていたから、新調して初の山行となる。そこで、半分はドライブ旅行になるような山にしようと小沢根ノ頭を思いついた。

自由に山へ出かけられたときより参加者が多いこともあった木曜山行だったが、ついにおとみ山ひとりだけになってしまった。とはいえ木曜日だけは陽ざしも出るだろうという予報なのだからついてはいる。

梅雨時でも楽しめる苔の森の散歩でもしようかと考えていたのも、何度もそこを歩いたおとみ山とふたりきりであればこだわることもない。私がまだ歩いたことのない横谷峡の遊歩道でも歩いてみようかと出かけた。

ところが現地へ向かっていると行く手の空に青い部分が拡がってきた。となると暗い沢筋を歩いている場合ではないと、まずは大門街道を北上した。その間に行先を決めようと思っていたが、あまりにどこでも行っているので簡単には思いつかず、苦し紛れに実に安易な結論としたのが車山だった。

ちょうどニッコウキスゲの花期だろうし、それを観るなら、観光対策で鹿柵を設けてあるビーナスライン側を歩くしかない。一年でもっともにぎわう時期も、このご時勢ではさほどでもないだろうという目論見もあった。

実際そのとおりで、たとえ平日でも例年なら混んでいるだろう駐車場にも余裕がある。ほとんどはリフトで登る観光客で、登山道に入っていく人は少ないが、それでも数人が登っているのが見える。我々は登りは稜線上に通じる径をとった。これなら車山の北で一般道に出るまではまず人とすれ違うことはない。

去年の7月に殿城山へ登ったときに鹿柵の中にニッコウキスゲがかなりの群落をつくっているのを知った(参照)。しかし去年と写真で較べてみると花の数は半分くらいに思える。群落の中をよくよく眺めると、茎の先が断ち切られてるものが目につく。電柵があるとはいえ、このくらいの高さでは鹿は飛び越えるのではないかと思う。

車山の最後の登りは階段が続いて辛い。頂上にはそれでも数十人はいただろうか。広い頂上だから混んでいるようには見えない。半分くらいはマスクをしている人がいて観光地らしい。ベンチに座って昼休みとしている間には半そで一枚では寒いくらいになってきた。黒い雲が増えてきたので早めに下ることにした。下りは一般道をとったので、ところどころでニッコウキスゲの撮影をしながらになった。

角間山(嬬恋田代)

前回の角間山はいつだったかと調べると、もう7年前だというのには驚くばかり。年年歳歳そんな感想が強くなっていく。(たわら写真集

地藏峠へはおよそ1100mを一気に車で登る。それが前の山旅号では辛く、ながらくご無沙汰していたのだった。中部横断自動車道の延伸、そして新山旅号の入手と、久しぶりに行ってみる気になった。

どしゃ降りの朝だったが、北に行くにしたがって雨もやんで空も明るくなってきた。車に力があるとやはり楽で、地藏峠までこんなに近かったかなと思った。

ときたま雲が取れて湯ノ丸山や棧敷山が姿を現し、全山緑の様は夏の盛りである。登山道の刈り払いがされて間もないようで歩きやすい径はなお歩きやすくなっていた。

誰もいない頂上でしばらく過ごしたが、ついに展望には恵まれなかった。しかし行きがけと径を違えて下り、牧場にさしかかったときには明るくなって、広濶な高原の雰囲気を楽しむことができた。

何もなければ避暑客で賑わっているはずの地藏峠も閑散としたもので、角間山ではなおさらだった。ただひとりにも出逢わないまま山歩きを終えた。秋の盛りにでもまた歩きたいと思う。
三峰山縦走(和田・山辺・鉢伏山・霧ヶ峰)

毎度書くことだが、7月から9月半ばくらいまでの木曜山行の主目的は納涼である。長い梅雨が続いて7月はさほど納涼という気分ではなかったが、明けたとたんに猛暑がやってきて、これはやはり涼しい山に逃げなければならない。

例年なら8月は計画を立てないのだが、本業が忙しくないのと、誰がなんと言おうが、こんなときこそ清涼な大気の中を歩いたほうがいいに決まっているので、木曜「健康」山行はできうる限りは実施することにした。

例によって名古屋のNさんが早朝やってくるというので、それなら往路の途中で少々遠回り願って車を使わせてもらえば、普段はできない縦走が楽しめると思った。さて、どこが良かろうかと考えて、参加者5人中、3人は三峰山は初めてだし、残りのおとみ山とすがぬまさんは6月の木曜山行で歩いたばかりだとはいっても全行程キリの中だったので、晴天が約束されていればまた歩いても何の不満もあるまいと考えた。扉峠から三峰山を経て和田峠までなんて、公共交通がない今ではなかなかできない縦走である。

そして夏の高原歩きここにありといった好日になった。好日というには天気がいいだけではダメで、心地よい涼風がなくてはならぬ。樹林帯から笹原の稜線に出たら、風がない日では夏はやはり暑い。しかし、なんとも具合のよい風が吹いていた。天然クーラー「霧ヶ峰」ここにありである。日陰がないので三峰山の頂上では風がなくては長居もできないが、涼風に吹かれながら長く休んだ。ここから下りたくないねとは誰しもの感想だった。

このご時勢か、ビーナスラインを行き来する車やバイクの騒音が少ないのも何よりで、縦走中に出会ったのも、白樺湖から美ヶ原までのロングトレイルに挑戦中の若者ひとりのみであった。

日本に冠たる高原縦走路を満喫した日であった。

麦草峠越え(和田)

納涼山行となると、2000mを越える地点まで車で行け、しかも木陰を歩く麦草峠付近に出かけることが多くて、つまりは未体験のコースが枯渇する。

それでも、地図とにらめっこして白駒池周辺で人になるたけ出逢わないようなコースを設定してみた。当初は、自転車を利用して車を回収するつもりでいたが、名古屋のNさんが山行後にそのまま名古屋へ帰るというので、それならちょっと手伝ってもらって、麦草峠を東から西に横断することにした。

お盆にロッジに泊まったお客さんに暑いから白駒池でも行ってきたらと推薦したが、行ってみると駐車場手前で大渋滞、駐車するのに2.3時間もかかると係員に言われてあきらめたと聞かされた。秋の紅葉の盛りにそんな状態になるのを聞いたことはあるが、夏でそれほどとは初耳で、猛暑とコロナの影響で、きっと集中してしまったのだと思う。

現地へ向かう途中、野辺山の気温の電光掲示がすでに30℃近くになっていて、これは尋常ではない。2000mを越える場所を歩いていても、暑くてどうしようもないといったことはさすがにないものの、冷涼なヒヤッとした感じはなかった。

7月にあれだけ降った雨もすっかり乾いていて、本来なら湿地になっているところも地面が干からびていた。白駒池周辺の苔の森もしっとりとはしていない。白駒林道からにゅうへの登山道へ抜けるまでと、狭霧園地から日向木場展望台までが今回の山歩きの焦点で、むろんその間では誰一人いなかった。

今年の計画に戻る  トップページに戻る