本栖湖北岸稜線縦走(精進

5月初旬、竜ヶ岳に端足峠から登ったとき、峠道の歩きやすさもさることながら、新緑の美しさに目を見張った。(木曜山行)(たわら写真集)l

そこで、西岸稜線も歩いてみようと出かけ、これも素晴らしかった。(木曜山行)

残ったのは北岸稜線で、これは春秋には歩いたことがあったものの、
https://yamatabi.info/2010j.html#2010j2
肝心の新緑を味わったことがまだなかった。それが10年前で、10年もたてば記憶なんてまるで薄れていることを思い知らされた。ことに城山西側の細尾根では、ロープのかかった岩場が3ヶ所あるのがまるで記憶から欠けていた。

あいにく富士山は見ることはできなかったが、そんなものは見えずともまったく不満はないほど美しい樹林の山歩きだった。亭々としたブナが次々に現れる様には感心するばかり、ことに、パノラマ台から中之倉峠にかけては径の状態がよく、第一級のハイキングコースだと思う。

八千穂高原(松原湖)

八ヶ岳の東側では、標高1700mくらいまでがすっかり芽吹いて、それより上のダケカンバなどの最後の新緑を待つばかりである。

去年もこの時季に、コゴミの収穫を目的に歩いて何とも気持ちよかったので今年も出かけたくなった。ただ、まったく同じルートでも面白くないので、ちょっとコゴミの畑まで登る方法を変えてみた。たどった尾根には、車道が通じるまでは、おそらく麓の集落からの径があったのだろうと思われるのは、字が判別できなくなった道標が残っているからである。

もっとも、道標はあるものの、ケモノ道以上の踏跡はもうない。途中にある伐採地では採りごろのワラビを摘みならがら登って、コゴミの畑を訪ねた。そこでちょうど昼となったので、収穫したり昼休みをしたりでたっぷりと時間をとった。

おのおの袋と胃袋を一杯にしたらあとはぶらぶらと新緑散歩である。ヒカリゴケの見られる風穴をのぞいたり、最後のおまけに笹薮も少々漕いで苦労もし、夕方のビールの味を良くした。むろん、それには収穫したコゴミやワラビがアテとして一役買ったのは言うまでもない。
倉沢山(川浦)

毎度書いているように、4月から6月にかけての木曜山行は新緑を追いかけている。つまりは季節が進むにしたがって標高と緯度を上げていくわけで、6月ともなれば山梨では標高は1500mくらいより高いところに行きたい。そうすれば芽吹きのおそいミズナラなどがもっとも初々しい緑で迎えてくれる。

去年、奇しくもまったく同じ日に倉沢山を歩いた。その数年前の秋に訪れた時、その樹林の良さに、これは新緑の頃に行かねばなるまいぞと思ったのをやっと実現させたのだったが、予想以上の美しい森を満喫した。自分が秋よりは春のほうが好きなこともあって、これはまたぜひとも新緑を見にまた行きたいなと思ったのをはやくも今年実現させることにしたのだった。去年も同行したおとみ山のリクエストノートにも挙げられていたので、他の人たちが初めてなら何ら問題はないどころか、その美しさには皆さん目を見張るだろう。

いいところは何度行ってもいい。ことに倉沢山の南から西に広がる斜面の美しさといったら、私の知るかぎり、伊那の入野谷山の西側斜面と双璧で、入野谷山と違うのは水の豊富さである。今回はまだつぼみが多かったが、山頂直下にいくつもの湿地があって、クリンソウの群落がみられるのがそれを物語っている。わずかに下るだけで水流の現れる小さな沢が数えきれないくらいある。

そんな森の中の一角に陣取ってのんびりと昼休みをした。ワインの1本も持ってくればよかったなとは途中で思いついたことで、ぜひ次の機会には持参してふるまいたいと思う。

閼伽流山(市川大門)


午後から大雨との予報に、ふつうであれば木曜山行は中止だが、遠路のお客さんがご宿泊とあってはどこかの山に出かけなければならない。

そこで「雨が降ったら閼伽流山」である。

佐久の山は遠く感じるが、ロッジ山旅から勝沼に行くのと距離は変わらないのである。八千穂まで高速道路が通じたので、より時間は早くなった。

午前中は雨どころか薄日も射すような天気で、標高1000mに足らない参詣路ではハルゼミの鳴き声に混じってなにやらうるさいセミの声も聞かれた。

濃い緑の中を歩いて大岩壁の下にずらりと並んだ観音像群にまみえる。初めての人にとっては、この景観は感動するしかない。芭蕉の句碑の下にはよくも積んだものだと思う石垣が残っていて、これも見ものである。

雨に降られないまま車に戻り、出発してまもなく豪雨になった。神仏のご利益があったということであろう。

(たわら写真集)

今年の計画に戻る  トップページに戻る