身延山(身延

身延山にはたびたび行っているが、最近では山歩きではなく観光で、頂上へもロープウエイでの往復である。表参道で登るのは調べてみると11年ぶりだったので、久しぶりに歩いて登ってみようと計画に入れたのだった。

身延へ行くのに国道52号を延々と南下したのはつい十数年前の話なのに、中部横断道の増穂インター過ぎてトンネルを何度かくぐるとはや下部で、さっきまで遠くに見えていた身延山がすぐ真横にあるのだから隔世の感がある。

標高の低い身延あたりではまだ秋の盛りといってもよく、広葉樹の少ないこのあたりでは、濃い緑の中に時々混じる赤や黄がかえって目立つようにも思うが、しだれ桜の時季には渋滞する門前町の道路も閑散としていた。

本堂の裏手から人も車もいない表参道をぶらぶらと登っていく。三光堂でやっと舗装路から解放されるが、そこからの荒れていた林道もきれいに砂利が敷かれていたのは以前の記憶と異なる。法明坊で昼になって、まだ登りを残していはいるが、頂上で景色を眺めながら昼食をといった天気でもないので、座敷を借りて昼休みとした。

休んでいるうちに外には雪が舞い始め、再び登り始めたときにはかなりの降雪となっていた。高冷地から南国の山にやってきて、今シーズン初めての雪降りの中を歩くことになった。

奥ノ院にいたって初めて人を見たが、この天気ではそれもまばらだった。参拝後に北側展望所へ行ったが展望皆無で、さっさとロープウエイで下界に戻った。身延山のような山に登ると不信心な私なんぞもどうしても宗教というものの力について考えざるをえない。そういった意味では、年齢とともに興趣は増しているように思う。

八王子山(白山)(甲府北部)

夏は信州方面へ、冬は甲府盆地周辺へというのが木曜山行の基本パターンである。15年以上もそんな風に計画を立てていると、とんでもない数のレパートリーはできたものの、どれもすでに自分にとっては新鮮味があるとはいえない。もっとも、山の様子などすぐに忘れるもので、行ってみれば新鮮なことも多いのだが。

勝手知ったるはずの甲府北山も、知らぬところはいくらでもあって、この1日に山岳会の山行で出かけた八王子山近辺にもまだ知らぬ道もあるのだなあということはそのときに書いたばかりである。

12月の計画は決めあぐねていたが、とりあえず昨日は、その行ったばかりの八王子山にまた登って、大人数では自由に確かめられなかった部分をもう一度歩いてゆっくりと我が物にしたいという興味で計画を立てた。山歩大介さんが白内障手術後初めての山となるので、このくらいの軽い行程がちょうどいいだろうし、よく見えるようになった目で甲府盆地を眺めるのもよろしかろう。

緑ヶ丘あたりの紅葉は今が盛りといったところ、もう12月も中旬だというのにもうこれが普通になるのだろうか。最高点の八王子山の650mでも葉を落とし切っているとはいえず、まだまだ晩秋の風情である。

八王子山から少し下った花崗岩の上に陣取って昼のひとときを過ごした。下から見ればどってことのない山も、登ってみればずいぶんと高い。気宇壮大になって下界に戻ってもまだ2時だった。
大泉山(茅野)

今年の納会の山はどこにしようかなと考えていて、去年の納会の日には小泉山に行ったから、今年は大泉山にしようと思いついた。参加者4人中3人が大泉町在住だということは別に関係はない。かの山は「おおずみやま」と読む。

木曜山行で前回出かけたのはいつだったかと調べたら2011年のことで、そんなに前だったかと思った。現地に行ってみると8年の間にはいろいろと変わっていたし、こちらの記憶だって薄らいでいる。山道の途中からかつての道筋ではないように感じたのも記憶違いだったらしい。

マツタケ山だからその季節には入山御法度で、信州の止め山に多いビニール紐が見苦しい。ことに頂上一帯はまるでビニール紐の満艦飾で、とてもそんなところで休む気にはならないと、少し下った美しいアカマツ林で昼の休憩とした。秋に入ったら地元民からどやされそうな場所である。

冷気が入ってきたところで腰を上げて麓へまっしぐらに下った。温泉にドボンのあと、夕方からは今年1年の納めで軽く祝杯をあげた。

斑山(若神子)

年末は何かと気ぜわしいだろうと、木曜山行の納会は昨週にしたのだったが、今週もまだ本業は忙しくないので、オマケ山行をすることにした。すると久しぶりの人たちが参加してくれて昨今としてはなかなかにぎやかになった。心配された天気も夕方まではもつとのことで一安心。

年の最後だから遠出はせずに地元の山に登りましょうと選んだのは斑山である。今年の2月に木曜山行で斑山から下る途中、たどっていた径から分岐して上へと続く径を見た。地形から察して、なるほどこれを使えばうまく尾根筋に出られるのだなと思った。いつかはそれをたどって登ってみようと思っていたのを実現することにしたのである。

しかしその径がしっかりしていたのは最初のわずかだけで、すぐに踏跡ともいえなくなった。ところどころでは径とも思えるが落葉に埋もれて判然としない。まあしかし、登り着こうと思っている場所はわかっているので適当に登って行った。葉を落とし切った林の中を背後にせり上がってくる枝越しの南アルプスを振り返りつつ登る。このあたりの山の冬の醍醐味である。

尾根筋に出たら、台風による倒木に多少煩わされたものの、上部に行くにしたがってそれもなくなり、昼過ぎには頂上に着いた。歳末の我らが住処を見下しながら昼休みとしたのち、勝手知ったる径を下った。

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